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2014年5月30日(金)

米国の戦争のために日本の若者が血を流す

集団的自衛権の本質浮き彫りに

衆院予算委 志位委員長の質問

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 日本共産党の志位和夫委員長が28日の衆院予算委員会で行った質問は次の通りです。


志位 「9条のもとで自衛隊に許されていない武力の行使とは何か」

法制局長官 「日本が武力攻撃を受けた場合を除き、国際関係の武力行使を広く禁じている」

志位 「集団的自衛権行使は、日本の国のあり方の文字通りの大転換だ」

集団的自衛権――「自衛」という名がついていても個別的自衛権とは根本的に異なる

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(写真)質問する志位和夫委員長

 志位和夫委員長 日本共産党を代表して、安倍総理に質問いたします。

 総理は、5月15日、安保法制懇の報告書を受け、報告書が提示した「限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方」について、「従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方」だと評価し、「政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたい」と言明されました。そこでうかがいます。

 そもそも、集団的自衛権とはどういう権利ですか。まず定義を、内閣法制局、お願いします。

 横畠裕介内閣法制局長官 集団的自衛権とは、国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。

 志位 いまご答弁があったように、集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力を行使するということであります。「自衛」という名前がついておりますが、日本に対する武力攻撃を実力をもって阻止する個別的自衛権とは、根本的に異なるものであります。

「海外での武力行使をしてはならない」という憲法上の歯止めを外すことに

 志位 もう一問、内閣法制局に聞きます。政府は、これまでの憲法解釈で、憲法9条のもとで、自衛隊に許されている武力の行使とはどんな場合であり、許されていない武力の行使とはどんな場合であるとしてきましたか。昨日の(政府)レクで通知した、2003年10月9日、参議院テロ特別委員会での秋山内閣法制局長官(当時)の答弁を示されたい。

 横畠 ご指摘の秋山内閣法制局長官の答弁でございます。「9条は、我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使を除きまして、いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁ずるものである」というものでございます。

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 志位 パネル(パネル(1))をご覧ください。いまご答弁のあったとおりでありますが、憲法9条のもとで、自衛隊に許されている武力の行使は、「我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使」だけであって、それ以外の武力の行使については、「いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁ずる」と、すなわち「海外での武力行使」は広く禁ずるということが、政府のこれまでの憲法解釈でありました。

 集団的自衛権行使を容認すると、すなわち日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということは、それができるとなれば、この憲法解釈は根底から転換させられることになります。それは、「海外での武力行使をしてはならない」という憲法上の歯止めを外すことになります。それは、日本の国のあり方の文字通りの大転換となってまいります。かりに、そこに踏み込んだらどうなるか。そのことを次に検討していきたいと思います。

志位 「集団的自衛権が行使できるとなったら、『武力行使をしてはならない』『戦闘地域に行ってはならない』という二つの歯止めはどうするのか」

首相 「武力行使を目的とした戦闘に参加しない」

志位 「結局、歯止めを残すとはいえなかった」

アフガン・イラク戦争のさいの自衛隊派兵法には、二つの歯止めが明記されていた

 志位 今度は、総理にうかがいます。2001年に開始された米国などによるアフガニスタン報復戦争、2003年に開始された米国などによるイラク侵略戦争にさいして、日本は、米国の強い要請に応じて、自衛隊を派兵しました。しかし、どちらの場合も、自衛隊派兵の根拠となった特別措置法には、その第2条で次のように明記されていました。パネル(パネル(2))をご覧ください。

図

 「第2条2 対応措置の実施は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。

 3 対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる次に掲げる地域において実施するものとする。

 一 公海及びその上空

 二 外国の領域」

 要するに、自衛隊は、米軍などへの支援活動を実施するけれども、その場合でも、「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という二つの歯止めが明記されておりました。だから自衛隊の実際の活動も、インド洋での給油活動、あるいはイラクでの給水活動や空輸活動にとどまったのであります。

 総理にうかがいます。集団的自衛権が行使できるとなればどうなるか。アフガン戦争、イラク戦争のような戦争が起こり、それに協力する場合に、これまであった「武力行使はしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」、この二つの歯止めはなくなってしまうのではありませんか。端的にお答えください。

 安倍晋三首相 安保法制懇において出された報告書でございますが、わが国をめぐる安全保障環境が大きく変わるなかにおいてですね、われわれは国民の命と、そして平和な暮らしを守っていかなければならないというなかにおいてですね、いま委員がご指摘になった集団的自衛権の行使、あるいはまた集団安全保障のなかにおける武器の使用等についてどう考えるべきか。あるいはまた、(武力行使との)一体化についてどう考えるべきかということについて、与党においてご議論をいただくわけでございますが、そのなかにおいてですね、たとえば集団安全保障のなかにおけるイラク戦争、あるいは湾岸戦争のようななかにおいて、武力行使を目的として戦闘行為に参加することは、検討しないということは、明確に申し上げたとおりでございます。

 そして、また、アフガン戦争でございますが、これは、いわばNATO(北大西洋条約機構)は集団(的)自衛権の行使として参加したところでございますが、いわば、このようなケースにおいてはですね、これは、個別的自衛権においても、自衛隊を海外に、一般論として、一般的に派兵をするということは許されないという考え方にのっとって、個別的自衛権にも制限がかかっているわけでございますから、当然ですね、集団的自衛権にも、その制限はかかるということでございますから、アフガン戦争において、いわば武力行使を目的として、戦闘に米軍とともに参加するということは、われわれ、この、もし、いま同じ、全く同じ事態が起こり、そしてかつわれわれが解釈を変更したとしても、それはないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 志位 私は、集団的自衛権が行使できるとなったら、この二つの歯止め――「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」、これがなくなってしまうんではないかと聞いたわけでありますが、これに対する答弁はありませんでした。

 「武力行使を目的とした戦闘に参加することはない」ということを繰り返しましたが、武力行使をしないとはおっしゃいませんでした。

「もし日本が集団的自衛権が行使できたら参戦を求めていた」(米国政府の当事者)

 志位 現実に、集団的自衛権が問題になったのは、まさに政府が今日あれこれ挙げたような「具体的事例」なるものにあるんではなくて、アフガン戦争、イラク戦争でこそ問題になったのであります。

 米国・ブッシュ大統領の特別補佐官を務めたマイケル・グリーン氏は、一昨年12月、次のように述べております。

 「(2001年の)9・11(同時多発テロ)後、NATOとオーストラリアは直ちに条約を発動し、(米国への)軍事支援を提供できた。しかし日本はインド洋での連合軍への給油活動やイラクでの人道支援の提供という極めて制限された次善策を見つけなければならなかった」、こう述べて、グリーン氏は、「(集団的自衛権行使の動きは)米日同盟をNATOや米豪同盟の方向にすすめるだろう」と言っております。

 すなわち、集団的自衛権を行使できるようになれば、自衛隊は、アフガニスタンやイラクの戦争で、NATOやオーストラリアと同じような米軍への軍事支援ができるようになるだろうと言っているわけであります。

 もう一人ですね、イラク戦争当時、米国・パウエル国務長官の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏は、5月8日、テレビ朝日のインタビューで、「もし日本がイラク戦争当時に集団的自衛権の行使ができたら、米国は日本政府に参戦するよう要請したか」と問われて、次のように答えています。

 「イエス(要請したと思う)。実際われわれは、政治的支援か、軍隊の派遣を求める戦略をまとめていました。もし(日本が)軍隊をどこにでも派遣できる準備が整っていたら、私は日本から部隊を二つ送ると、その戦略に書いたでしょう」

 こちらも、日本が、集団的自衛権の行使ができたら、米軍の軍事的支援のために日本に二つの部隊の参戦を要求していただろうと言明しているのであります。

 アフガン・イラク戦争をたたかった米国政府の当事者たちがこう語っているのであります。総理に重ねて聞きます。今度はきちんと答えてください。集団的自衛権の行使ができるとなれば、アフガン戦争、イラク戦争のような場合に、これまであった「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」というこの二つの歯止めはどうなるんですか。残すのか、残さないのか。端的に答えてください。

「武力行使を目的にした活動」はしないと繰り返すが、「武力行使をしない」とはいわず

 首相 さきほども、申し上げたとおりですね、われわれは、安保法制懇の報告書のなかから、いわゆる芦田修正論はとらないということを明確に申し上げているわけでございまして、そのなかにおいて、たとえば、集団的自衛権についてもフルに、これは、日本には、これは行使を認められていないという考え方をとるわけでありまして、さきほど申し上げましたように、昭和47年の答弁のなかにおいて、自衛権は必要最小限度に限られるというなかにおいて、個別的自衛権にもこれは当然かかっている、必要最小限度でありますから、これは集団的自衛権においても、これはかかるであろうということでございますから、海外に派兵をして、いわば、武力行使を目的として戦闘に自衛隊が参加することはないわけでありますから、当然、いまいった意味においてのですね、これは歯止めがかかっているということであります。これは、アフガン戦争においてもそうですし、イラク戦争、湾岸戦争は、これは、いわば集団安全保障のなかでの行為でありますが、それはないという、武力行使を目的とした戦闘行動に参加することはないということは明言をしておきたいと思います。

 志位 私が聞いたのは、何度も聞いたんですが、「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを残すのか、残さないのかと聞いたわけでありますが、残すとはいわれませんでした。

 「武力行使を目的にした活動」はやらないと繰り返されました。しかし、武力行使をやらないとはいいませんでした。

志位 「自衛隊はどんな活動であれ『戦闘地域に行ってはならない』という歯止めを残すのか」

首相 「(歯止めを残すと言わず)従来の活動のあり方を検討する」

志位 「自衛隊が『戦闘地域』に行くこともありうるということだ。きわめて重大な答弁だ」

補給、輸送、医療など兵站活動、「後方支援」はどうするのか

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(写真)安倍晋三首相に質問する志位和夫委員長=28日、衆院予算委

 志位 それでは聞きましょう。「武力行使を目的にした活動」はやらないというのだったら、補給、輸送、医療などの兵站(へいたん)活動、いわゆる「後方支援」はどうするのか。

 政府は、これまで、自衛隊が、米軍などへの補給、輸送、医療などの兵站活動、「後方支援」を行う場合に、「戦闘地域に行ってはならない」としてきました。それ自体は戦闘行為ではない兵站活動、「後方支援」であっても、それを「戦闘地域」で行うならば、相手からの攻撃を招き、それに応戦し、結局は憲法9条が禁止する武力の行使をすることになる。だから、たとえ兵站活動、「後方支援」であっても、「戦闘地域」で行うことは許されず、「非戦闘地域」でのみ許されるとしてきたのであります。

 私たちは、こうした政府の考え方に対して、「戦闘地域」「非戦闘地域」と区分けすることそのものが不可能だと批判をしてまいりました。しかしともかくも、「戦闘地域に行ってはならない」というのは、政府自らが憲法9条を守るための担保といいますか、歯止めとしてきたものであります。

 総理にうかがいます。アフガン戦争、イラク戦争のような場合に、政府自らがつくった歯止め――自衛隊はどんな活動であれ「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを残すんですか、残さないんですか。

 首相 これまでですね、わが国による後方支援にさいしては、わが国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律においてですね、非戦闘地域や後方地域といった仕組みを採用してきたところでございます。武力の行使との一体化の考え方はもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することはないわけでございまして、この一体化論についてはですね、踏襲していくわけでございますから、従来の政府の立場に、この、照らして難しいとしても、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとしてですね、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかをですね、明確にすることは、今後の検討課題の一つでありまして、また、従来から述べている非戦闘地域、後方地域という概念につきましては、これは志位委員長のご議論も含めて、さまざまなご議論もありました。この点も含めた検討が必要であるのではないかと、こう考えているわけでございまして、そうしたことも含めて、現在、与党において議論がなされているところでございまして、この結論が出ていくなかにおいて、政府としても法制局を中心に検討を進めていく考えでございます。

自衛隊の活動を拡大する方向で「検討する」との答弁は、きわめて重大だ

 志位 総理は、聞かれたことに全く答えていないんですよ。私が聞いたのは、自衛隊はどんな活動であれ「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを残すのか、残さないのか、これを聞いたわけです。いま(答弁の文書を)読み上げましたけれども、「検討する」というようなことをいわれたけれども、これを残すとはっきりいわない。残すのか、残さないのかを聞いているんです。もう一回答弁してください。

 首相 いまご指摘になったですね、非戦闘地域、あるいは後方地域ですね、という概念についてもですね、いろんなご議論がございましたので、こうした概念も含めて与党においてご協議をいただきたいということでございます。

 志位 私が再三聞いても残すとはいわなかった。歯止めを残すといわなかった。逆に自衛隊の活動を拡大する方向で「検討する」ということをいま答弁でいわれました。きわめて重大であります。

 そうなりますと、「検討」といいますけれど、歯止めを外す方向での「検討」ということにならざるをえない。すなわち自衛隊が「戦闘地域」に行くこともありうるということであります。きわめて重大な答弁だと思います。

志位 「『戦闘地域に行ってはならない』との歯止めを外せば、アフガン戦争参戦のNATOと同じになる」

首相 「NATOは武力行使を目的として参加したことが決定的に違う」

志位 「NATOが決めた支援内容はどれも兵站活動だ。それでも多数の犠牲者が出た」

テロ特措法――「NATOとの決定的な違いは戦闘地域に行かないこと」(小泉政権)

 志位 「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを外してしまったらどうなるか。2001年の米軍のアフガニスタン戦争にさいして、NATO諸国は、米国の要請に応えて、集団的自衛権を行使し、この戦争に参戦しました。

 そのときに、自衛隊派兵のテロ特措法の審議のなかで、当時の小泉首相は、NATO諸国との違いを問われて、こういいましたよ。「武力行使はしないんです。戦場には出ないんです。戦闘行為には参加しないんです。明らかに違うんです」。戦場に行かない、これが一番の違いだといったんです。

 当時の福田官房長官は、「(自衛隊の活動地域は)現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて、戦闘行為は行われることがないと認められる地域に限られている。そのことがNATOと決定的に違う」と答弁しました。NATOとの決定的な違いは、戦闘地域に行かないことだと答弁したのであります。

 総理にうかがいます。自衛隊はどんな活動であれ「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを外してしまったら、アフガン戦争に参戦したNATO諸国と同じになってしまうではありませんか。どうですか。

 首相 アフガン戦争に参加したですね、いわばNATO軍においてはですね、まさに集団的自衛権の行使として、武力の行使を目的として戦闘地域に、戦闘に参加しているわけでございます。これはできない。これが決定的な違いといってもいいんだろうと思います。その上においてですね、戦闘地域と後方地域については、志位委員もですね、その地域の概念についてさまざまな疑問を呈してこられたのは事実でございます。そうしたことも含めてですね、さらに精緻な議論をしていく必要があるだろうとこのように思うところでございます。

兵站活動であっても、攻撃対象とされ、戦争の泥沼にはまり込んでいった

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 志位 NATOの部隊は武力行使を目的にしていたと、それが違うんだといいますが、パネル(パネル(3))をもう1枚ご覧ください。これはアフガン戦争に際して、NATOの諸国が集団的自衛権の発動として決定した8分野の支援であります。

 「燃料補給、空港・港湾の使用許可」「米国施設などの保安強化」「地中海東部への艦艇の派遣」「早期警戒機(AWACS)の派遣」「加盟国の領空通過許可」「NATO責任地域への人員・装備の補充」「テロに関する情報の協力強化」「テロの脅威にさらされた関係国支援」。この8項目です。

 直接の戦闘活動など一つもありません。兵站活動、「後方支援」ばかりであります。それにもかかわらず、NATO諸国の多くの国々が、アフガニスタン戦争で多くの犠牲者を出しております。戦争開始から今日まで、米軍の犠牲者は2322人、米軍を除くNATO諸国の犠牲者は21カ国1031人にのぼります。

 なぜ自衛隊からは犠牲者がでなかったにもかかわらず、多くのNATO諸国で犠牲者が出たか。それは、NATO諸国には、日本のような「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めがなかったからです。

 この歯止め抜きに米国の戦争に参戦すれば、それがたとえこのような兵站活動であったとしても、ここから開始されたとしても、相手側の攻撃の対象となって、戦闘に巻き込まれます。戦争の泥沼にぬきさしならない形ではまりこんでしまう。こうしてNATO諸国でも多数の国から犠牲者が出ることになったのであります。

志位 「集団的自衛権行使とは、米国の戦争のために、日本の若者の血を流すということか」

首相 「もし行使が認められる場合でも制限的ななかで判断する」

志位 「『海外で戦争する国』への大転換――立憲主義否定の暴挙の中止を求める」

 志位 総理に最後にうかがいたい。総理は、『この国を守る決意』という著書のなかで、こう述べておられます。「軍事同盟というのは“血の同盟”です。……しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです」。こう述べて、集団的自衛権の行使の必要性を説いておられます。総理、集団的自衛権の行使とは、端的にいえば、アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流すということですね。いかがですか。

 首相 それは明確に違うということは申し上げておきたい、このように思います。わが国のですね、平和と安全にこれはかかわる、まさにわが国の安全にこれは深刻な影響を及ぼす、そういう観点からですね、判断をしたときに、いわばこの制限的ななかにおいてですね、集団的自衛権の行使を可能にするか、制限的ななかにおいて、いわば制限されたなかにおいて許容できる範囲のなかの集団的自衛権のなかにおいて、もし行使が認められるとしてもですね、わが国にですね大きな影響を及ぼすと、そしてそれは国民の生命、あるいは国の存立に影響等々も勘案した上においてですね、これは判断するかどうかということにつながるわけでありまして、アメリカのためにですね、要請されればただちに集団的自衛権を行使をするというものではまったくないということは申し上げておきたいと思います。

 志位 るるいわれましたけれども、自民党の石破幹事長は、「集団的自衛権を行使するようになれば、自衛隊が他国民のために血を流すことになるかもしれない」。はっきりいっておられます。

 かくも重大な国のあり方の大転換――「海外で戦争する国」への大転換を、一内閣の閣議決定で、憲法解釈の変更という手段で強行するなど、絶対に認めるわけにまいりません。立憲主義の否定そのものであります。憲法破壊の暴挙を中止することを強く求めて、質問を終わります。


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