2014年5月29日(木)
首相「戦地」派兵否定せず
衆院予算委 志位委員長が追及
憲法破壊 断じて許さない
集団的自衛権の行使容認を含む憲法解釈の変更によって、「戦闘地域に行かない」などとしてきたこれまでの海外派兵法の歯止めが失われる――。日本共産党の志位和夫委員長は28日の衆院予算委員会でこう追及し、その危険性を浮き彫りにしました。安倍晋三首相は「戦闘地域に行かない」との歯止めの見直しを否定しませんでした。志位氏は「憲法破壊の暴挙を中止せよ」と迫りました。
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志位氏は、米国が主導したアフガニスタン戦争(2001年〜)、イラク戦争(03年〜)への派兵の根拠となった両特別措置法に、「武力行使をしてはならない」(2条2項)「戦闘地域に行ってはならない」(2条3項)との歯止めが明記されていたことを指摘(表)。憲法解釈の変更によって、“二つの歯止め”が失われることになると追及しました。
安倍首相は「武力行使を目的とした戦闘行動に参加することはない」と釈明する一方、“二つの歯止め”を「残す」とは言いませんでした。
志位氏は、両戦争当時の米政府高官が、当時の日本が集団的自衛権を行使できていれば、「派兵要請したと思う」などと証言している事実をあげ、行使が現実の問題となったのは政府があげるあれこれの事例などではなく、アフガン・イラク戦争だと批判。「非戦闘地域」に限定してきた補給・輸送・医療など米軍への支援活動に対して課してきた歯止めを残すのかと重ねてただしました。
首相は「非戦闘地域、後方地域という概念も含めた検討が必要ではないか」と述べ、自衛隊の戦場での活動範囲を見直す考えを表明。志位氏は、「自衛隊が『戦闘地域』に行くこともありうるということで、きわめて重大な答弁だ」と批判しました。首相の答弁は、これまで「非戦闘地域」に限定してきた米軍などへの支援活動を、「戦闘地域」でもできるように「検討」を進めようというものです。
さらに首相は「何が(他国軍の)武力行使と一体化する行為なのかを明確にすることは検討課題だ」とも述べ、「後方支援」の内容についても拡大する方向で見直す意向を示しました。
志位氏は、米国の要請で集団的自衛権を行使したNATO(北大西洋条約機構)21カ国で犠牲者が1031人にのぼり、「後方支援」のみの参戦であっても多くの死者が出ていることを指摘。「『海外で戦争する国』への大転換を憲法解釈の変更で強行することは断じて許されない」と強調しました。
非戦闘地域と後方地域 政府は憲法9条の下、海外での武力行使を禁じていますが、アフガニスタン、イラクの両戦争へ派兵を可能にするため、戦場を「戦闘地域」と「非戦闘地域」という概念に区分。「非戦闘地域」に活動を限定することで「他国の武力の行使との一体化」にあたらないとの“論理”をつくりあげました。朝鮮半島有事などでも同じ理屈で、自衛隊の活動は「後方地域支援」に限定されています。
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