2014年5月27日(火)
欧州議会選 主流派が後退
緊縮政策など不満
【パリ=島崎桂】欧州連合(EU)の共同立法機関、欧州議会の751議席を争う欧州議会選挙の開票が25日深夜(日本時間26日早朝)から始まりました。議会主流派の中道右派・中道左派が後退。EU主導の緊縮策を批判する左派勢力が前進し、EUからの離脱を掲げるEU懐疑派や極右勢力が大幅に議席を増やしました。
選挙は国ごとに行われる比例代表制。各国の与党・最大野党が加盟する欧州議会内の二大会派、欧州人民党(中道右派)が第1会派になり、社会民主進歩同盟(中道左派)が第2会派となりました。両会派で過半数を維持したものの、各国で支持離れが進み、合計議席は470議席から約400議席に後退しました。
背景には、欧州債務危機への対応として両会派が主導した緊縮政策や、高止まりする失業率、経済復興の遅れなど、この5年間のEU運営に対する不満があります。
EU主導の過酷な緊縮策が多くの失業者を生み、医療・福祉が極度に悪化したギリシャやスペインでは、反緊縮を掲げる左翼政党が躍進。同じく反緊縮を掲げる環境政党会派、緑の党・欧州自由連盟は議会内の第4会派を維持しました。
今回の選挙では、EUからの離脱や移民排斥、EUの権限縮小を掲げる各国の極右勢力やEU懐疑派も大幅に議席を増やしました。
フランスの国民戦線(FN)は26%、デンマークの国民党は27%を得票し、両党ともに国内第1党を獲得。ハンガリーやオーストリア、フィンランドでも極右政党が支持を集めました。英国では、EUからの離脱を掲げる独立党が27・5%を得票し、国内第1党になりました。
欧州議会内には現在、極右勢力の統一会派は存在しません。会派結成には、7カ国25議員の参加が条件。一部の極右政党は新会派結成に向けて動き始めています。
自国で首位を獲得したギリシャの急進左翼党やFNの党首は選挙結果を受け、自国議会の解散と総選挙実施を要求。選挙結果は今後、各国の内政にも影響を与えそうです。
当日の有権者数は約3億9000万人。投票率は前回2009年と同じ43%でした。
南欧3国の左翼前進
【パリ=浅田信幸】25日投開票が行われた欧州議会選挙で、ギリシャの急進左翼連合(シリザ)が国内第1党に躍進し、スペインの共産党を中心とする統一左翼が議席・得票率ともに3倍化を勝ち取りました。またイタリアでも共産主義再建党など左派勢力を結集したリスト「別の欧州」が新たに議席を確保し、議席空白を克服しました。
ギリシャのシリザは26%の得票率で定数21のうち6議席を確保。保守与党・新民主主義党の23%、5議席を上回りました。同じ会派の「欧州統一左翼/北欧緑左翼」に加わるギリシャ共産党も6%、2議席を獲得しました。
同国では1974年の軍事独裁政権の崩壊以来、新民主主義党と中道左派の全ギリシャ社会主義運動が交互に政権を担う二大政党制が続いてきました。シリザの第1党進出についてメディアは「歴史的快挙」と報じています。
スペインの統一左翼は11%の得票率で定数54のうち6議席(前回2)を確保し、国内第3党に前進。イタリアでは左派連合の「別の欧州」が議席確保に最低必要な4%の得票率をぎりぎりで上回り、3議席を得ました。
3国はいずれも過酷な緊縮政策に反対する国民的な抗議行動が広がっており、左派勢力はその先頭に立ってたたかってきました。
一方、ドイツの左翼党は得票率7・4%で7議席を得ました。