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2014年5月27日(火)

「駆けつけ警護」自公協議

違憲の軍事活動拡大の危険

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 27日に2回目となる、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更についての自民、公明両党の協議。この協議の中で、国連平和維持活動(PKO)などで自衛隊が離れた場所で襲撃された他国部隊や文民要員を守る「駆けつけ警護」を積極的に容認し、検討・法整備を進めようという動きが出ています。

前向きの姿勢

 安倍晋三首相は15日の会見で、離れた場所にいるNGO(非政府組織)や他国部隊が攻撃を受けても「彼らを見捨てるしかない」などと述べ、「駆けつけ警護」の必要性を強調しました。公明党の井上義久幹事長も18日の会見で、「邦人保護や要員保護について可能なことはやるべきだ」と「駆けつけ警護」に前向きの姿勢を示しました。

 ある公明党幹部は、自衛隊が他国部隊を守ることは装備や兵力の点から「現実的ではない」として、「駆けつけ警護」の対象を文民要員に限定することも視野に入れていると言います。これに関し、井上氏は「対象者や範囲、武器使用をどこまで認めるのか、具体的に詰めないといけない課題はたくさんある」と述べています。

 「駆けつけ警護」は、警察的活動だとして「憲法の範囲内」などとされます。ただ、離れた場所にいる第三国の文民や部隊への攻撃が「武力攻撃」とされる場合は、それへの反撃が「武力の行使」になり、海外での武力行使を禁じた憲法9条に違反する可能性があります。こうした問題を考慮して、政府はこれまで法整備をしてきませんでした。

 公明党議員の一人は「安倍首相は多国籍軍など集団的安全保障はやらないと言うのに、一番危ない『駆けつけ警護』から議論を始めるというのは矛盾だ」とこぼします。

 こうした声はあるものの、自民、民主、公明各党の安保族議員らは、アフガン・イラク戦争以降、自衛隊海外派兵の「恒久法」の具体化を検討する中で、施設や人に「配置」「随伴」する警護活動に加え「駆けつけ警護」を可能とし、海外での武器使用基準を大幅に緩和するよう主張してきました。

落としどころ

 自民党議員の一人は「集団的自衛権の問題で公明党は慎重姿勢だが、いくつかの落としどころを考えている。グレーゾーンや警護活動で合意することはその一つ」「一つ一つ議論していく中で、どうしても集団的自衛権行使が必要だという場合が出てくる」と“期待”を語ります。同党関係者の一人も「憲法解釈の変更に多少時間がかかっても、これまで進まなかった問題で実質的前進ができれば大きい」と述べます。

 集団的自衛権の行使容認へ向けた憲法解釈の変更の議論の中で、どさくさ紛れに、違憲の疑いの強い海外での軍事活動の拡大が進められる危険があります。解釈改憲の突破口となる可能性もあります。

(中祖寅一)


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