2014年5月23日(金)
学校教育法など改悪案に対する
宮本議員の代表質問
衆院本会議
22日の衆院本会議で審議入りした学校教育法と国立大学法人法の改悪案について、日本共産党の宮本岳志議員が行った代表質問は次の通りです。
戦前、わが国の大学は、官吏養成機関として出発し、帝国大学令第1条では「帝国大学は国家の須要(しゅよう)に応ずる学術技芸を教授し」と定められていました。それが、学生を戦地に送った歴史の教訓から、戦後、大学は、国家目的への奉仕機関から「学術の中心」の機関に転換したのです。憲法が明記する学問の自由と、大学の自治は、まさにその保障であると言わねばなりません。
ところが、本法案は、大学の自治の土台である教授会を骨抜きにし、学長のリーダーシップの確立と称して学長独断の大学運営を許す、大学自治破壊法案です。
学問の自由脅かす
教授会が審議できる事項を「学生の入学・卒業及び課程の修了」と「学位の授与」に限定し、その他は「学長が意見を聴くことが必要であると認める」場合に限るなど、教授会の審議権を大きく制約しています。これは、大学自治の組織上の保障をなくし、学問の自由を脅かすものではありませんか。
教育研究費の配分、教員の業績評価、教員採用などの人事、学部長の選任、カリキュラムの編成や学部・学科の設置廃止など、教育研究の重要な事項を教員の意見も聞かずに、学長が独断で決められることになるのではありませんか。
私立大学では、理事長の暴走が問題となってきました。文科省から解散命令をうけた堀越学園は、教授会による内部チェックが働かず、理事長の放漫・乱脈によって経営破綻をひきおこしました。このようなワンマン経営をむしろ助長することになるのではありませんか。
上意下達の運営に
わが国の大学では、学長は教職員による選挙で選ぶという民主主義の制度が根づいてきました。国立大学では法人化後も多くの大学で選挙の結果に基づき学長を選んでいます。
法案は、国立大の学長は「大学のミッションにそった学長像」など、基準を定めて選考するとしています。学長は教職員の支持を得たかどうかではなく、この基準にあうかどうかで選ばれます。
しかし「大学のミッション」とは、大学の再編・統合を視野に入れた文科省の方針ではありませんか。つまり、文科省の方針にそった人しか学長にさせないということではありませんか。
しかし、学内で支持されない学長がどうしてリーダーシップを発揮できるのですか。
これでは、学長独裁ともいうべき上意下達の運営がまかりとおり、大学から自由と民主主義が失われます。教育研究への教職員の主体性や活力は失われてゆくのではありませんか。そして、民主主義のない寒々とした大学では、むしろ教育研究の質は低下するのではありませんか。
安倍内閣が大学自治の破壊を進めるのは、財界の強い要望があるからです。政府・財界いいなりの大学に変えるのが、この法案の狙いにほかなりません。財界は、大学が産業競争力強化に貢献する人材を育成すべきだとして、大学の再編・統合、企業経営の論理を大学に導入することを求めています。
さらには、国立大の学費設定の自由化まで主張し、学費の際限のない値上げまで要求しています。しかし、そのようなことになれば、最大の被害者は学生ではありませんか。
国がなすべきは、大学自治の破壊ではなく、学問の自由を保障し、大学の多様な発展に必要な条件整備を行うことです。この間、大学予算は削減されつづけ、非正規の教員・研究者が増え、基礎研究が存続できない深刻な危機に直面しています。世界で最低水準の大学予算を抜本的に増やすことこそ急務ではありませんか。
日本共産党は、安倍内閣の大学自治破壊を許さず、貧困な大学予算の抜本的拡充に全力をつくすことを表明し質問を終わります。