2014年5月18日(日)
震災公務災害 危険加算却下でも
再申請なら審査します
基金が通知 高橋議員質問
東日本大震災の被災3県で、高度の危険が予測される職務で死傷した地方公務員に補償額を加算する「特殊公務災害」の認定について、認定を却下された事例でも再び申請すれば、審査し直されることになりました。日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が今国会で取り上げ、改善を求めていました。
特殊公務災害は、消防職員や警察職員ら高度な危険が予測される状況で公務災害を受けた場合に補償額が加算される制度。災害時に人命救助にあたる職員も補償されます。
地方公務員災害補償基金は1日付で被災3県の各支部に、「再度、特殊公務災害の認定請求が行われた場合には改めて審査を行う」と通知しました。判定当時はわからなかった事実が明らかになるなどして不服審査で判定が逆転する事例が相次いでおり、「補償の公正な実施を確保する観点から特段の配慮を行う」としています。
同基金によると、3月末現在で145件の申請があり、支部で認定されたのはわずか18件で、124件が却下されました。しかし、審査会に不服を申し立てた89件のうち41件で却下処分が取り消され、認定されています。
遺族の認定申請を支援している土井浩之弁護士は「国会で取り上げられ、大いに力になりました。裁判も起こされ、いろんな運動が判断の誤りを正すきっかけになりました。遺族の方にはもう一度、申請することを呼びかけたい」と話します。
高橋氏が衆院予算委員会分科会(2月26日)で取り上げたのは、広報車で避難を呼びかけていて津波にのまれ、亡くなった仙台市職員の大友純平さん=当時(38)=。地方公務員災害補償基金仙台支部に特殊公務災害の認定を申請しましたが、高度な危険が予測される状況ではなかったと却下されていました。
高橋氏は、却下処分に不服を申し立てた大友さんの遺族の声を代弁し、「危険を顧みず職責を果たしたということを認めてほしい」と要望。新藤義孝総務相は「国民の代表である議員の国会の発言はとても重い。心情においては、とても誰もが理解できる」と答えていました。