2014年5月15日(木)
内閣広報室 憲法・秘密法特集雑誌にこう干渉
書店を“スパイ”に情報収集
ネット情報を日常的に監視
女性ファッション誌で改憲問題を特集し、その中で秘密保護法を取り上げることを知った内閣広報室が、発売前に編集部に干渉したことが問題になっています。なぜ発売前に内容を知りえたのか調べていくと内閣広報室が秘密保護法をめぐるインターネット情報を監視していることや、書店を“スパイ”に仕立てて情報収集をしていたことが14日、本紙の取材と入手した資料からわかりました。
|
|
内閣広報室の干渉があったのは、30歳代の子育て中の女性をターゲットにした月刊誌『VERY(ヴェリィ)』(光文社)です。
3月号で「お母さんこそ、改憲の前に知憲!」と題する座談会記事で秘密保護法や自民党の改憲草案を語り合うもの。
同誌特集号の関係者や内閣広報室などへの取材によると、1月初旬、「書店の者」を名乗る人物から、編集部に電話がありました。
「書店の者」は「秘密保護法の特集をするそうですが、何月号ですか?」と質問し、編集部は2月7日発売の3月号と答えました。
その電話の直後に、内閣広報室の男性職員が編集部に電話。「書店から聞いた。秘密保護法を取り上げるなら、うちにも取材を」と、取材の“要請”をしました。編集部は応じませんでした。
本紙が情報公開請求で入手した内閣広報室の文書には、「12月12日、■がツイッターに、『同誌が来月号で特定秘密保護法などを取り上げる』趣旨の投稿」との記述がありました。
内閣広報室は本紙の取材に「座談会に出席した方のツイッターでの投稿で知ったのが初めてだった。何月号なのかわからなかったので、書店に問い合わせたところ、書店が編集部に確認し、広報室に報告いただいた」と回答。内閣広報室が民間業者である書店を利用して、情報収集をさせるという、言論の自由を踏みにじる行為をしていたことが判明しました。
また、内閣広報室は「その時期の施策についてSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上の情報で勉強させていただいている。その一環で見つけた。業務の一環だった」と言明。今回の件だけでなく、日常的にネット監視を行っていたことを認めました。
言論活動への圧力なのではないか、とただすと、広報室は「(編集部の)受け止められ方ではないか」とのべました。 (矢野昌弘)
|