2014年5月14日(水)
きょうの潮流
昨年暮れの国会請願でした。田村厚労相を前に、「私たちはひどい目にあってきた。それなのに謝罪もなく、療養所も改善されない。あなたたちは、われわれの死滅を望んでいるのか」▼そう迫ったのが、生涯をハンセン病患者の「人間回復」のためにたたかった谺雄二(こだまゆうじ)さんでした。いまや、入所者の平均年齢は83歳。高齢化の一方で職員が削減されていくことへの怒りの抗議でした。「死を覚悟で座り込みも辞さない」▼この大型連休の後、真新しい重監房資料館の見学を兼ねて草津の栗生楽泉園(くりうらくせんえん)を訪ねました。しかし、すでに谺さんは病室で寝たきり。声をかけても、返事はありません。「赤旗の記者」と言ったときだけ、目が合いました▼7歳で発病してから強制収容所に押し込められた谺さんが日本共産党に入ったのは戦後の55年。殺人監獄といわれた重監房の撤廃闘争や、ハンセン病の特効薬プロミン獲得に果たした党への信頼とともに、23歳の青年を突き動かしたのは社会とのつながりでした▼以来、半世紀をこえて、仲間を増やし、学びあい、たたかい、党をひろげる活動の先頭に立ってきました。国によって無理やり社会から隔絶された谺さんにとって、「党はわが家」「党員は新しい家族」でした▼療養所の改善に尽くした神美知宏(こうみちひろ)さんに続く、谺さんの悲報。あらゆる差別や偏見、抑圧のない社会をめざした彼らの意志は受け継がれていくでしょう。「この国からきっとたたかいとる/いかに生きたか/人間の尊厳そのいのちの証」