2014年5月12日(月)
独立問う住民投票強行
ウクライナ東部 国際社会の反対無視
【パリ=島崎桂】ウクライナ東部ドネツク州とルガンスク州の親ロシア派は11日、両州のウクライナからの独立を問う住民投票を実施しました。欧米諸国を中心とした国際社会の反対に加え、ロシアによる延期要請も無視しての強行です。
投票は、親ロシア派が一方的に宣言したドネツク、ルガンスクの「人民共和国独立を支持するか」を問うもの。現地からの報道によると、住民投票を準備した人々ですら、何カ所で投票を行っているかわからないといいます。有権者管理もずさんで、英BBC(11日付電子版)はその光景を「無秩序」「でたらめ」と評しました。
法的根拠も監視体制もない中での投票結果を欧米諸国が認めないのは確実です。投票は日本時間12日未明まで続き、結果は投票終了後3日以内に公表されます。
ドネツク州スラビャンスクで市長を自称するポノマレフ氏は投票に先立ち、「人民が望めば、我々は再びロシアに合流する」と強調。両州では18日にもロシアへの編入の賛否を問う住民投票を予定しています。
住民投票に基づいて独立と編入を目指す動きは、ロシアがクリミア半島を併合した経過と重なりますが、今回の住民投票に対しては、ロシアからも異論が上がっています。
ロシアのプーチン大統領は7日の声明で、関係各国の「対話に必要な条件を整える」ために住民投票を延期するよう要請。親ロシア派は「ウクライナ東部、南部の住民を気にかけてくれる人」としてプーチン氏に「感謝」を示しましたが、投票自体は「決定したもの」として実施を表明していました。
ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相は同声明について、国際社会の批判回避を狙ったプーチン氏の「大風呂敷だ」と揶揄(やゆ)。声明の内容を疑問視し、引き続くロシアの暗躍を示唆しました。