2014年5月5日(月)
消費税8%“やだー”
駄菓子屋で子どもら
東京・荒川
店主“税とりたくないけど…”
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「としちゃん、10円ここ置いとくよ」―。都電熊野前駅から近い熊野前商店街(東京都荒川区)にある駄菓子屋「としちゃん」には、放課後の小中学生たちが小銭を持って続々とやってきて、10円、20円の菓子を買っていきます。
「としちゃん」
子どもたちから店名と同じ「としちゃん」と呼ばれるのは、店主の越山寿治(としはる)さん(67)。郵便局を定年退職し、昔両親が経営していた駄菓子屋を改装して2008年に開店しました。
棚に並ぶのは、小さなチョコレート菓子やガム、昔ながらのふ菓子など数十円の菓子がほとんど。子どもにとってささやかな楽しみです。店内で、もんじゃ焼きをわずか150円(子どもサイズ。毎月9日は憲法9条にちなみ90円)で食べられるのも人気です。
越山さんは、4月の増税前までは仕入れでかかる消費税5%分を価格に転嫁せず、身銭を切ってきました。しかし、8%の増税に加え、原材料価格の高騰の影響を受け、1回の会計が100円以上の場合は8%分を上乗せすることにしました。
「子どもたちから消費税をとりたくないという思いで5%分は何とかしてきましたが、8%になってもんじゃの小麦粉の価格も高騰して。店が続けられないのでやむなく転嫁することにしました」と、越山さん。
増税への怒り
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「151円? あー、消費税上がったからかー」「118円? あ、消費税か。消費税、超うざい!」。値札の合計額に越山さんが電卓で8%分を加算すると、子どもたちも増税への怒りを口にします。
「消費税が上がって、どう思う?」と聞くと、いっせいに「やだー!」の大合唱が。
1回の会計が100円以上だと消費税8%分が上乗せされるため、それを避けて90円以内に収めて何度も買い物する子も。消費税増税への小さな“抵抗”です。「100円以上買わなきゃいい。ちまちま買うからめんどくさくなったけど」(小学5年の女の子)
そんな子どもたちを眺めながら越山さんは、「『値段を上げるならもう来ない』と言っていた子もいました。今も来ていますけどね(笑い)。子どもなりの怒りだと思います」と語ります。
荒川民主商工会の会員である越山さん。増税反対の署名にも取り組んできましたが、増税を強行されたことに怒りを感じています。
「『なぜ消費税が上がるの?』と聞かれることもあります。『消費税は鉄砲玉なんか(軍事費)に使われるんだから』と話したこともありますが、子どもたちにどう話せばいいのか難しいですね。財界の要求で来年10%、その先も天井知らずなんて許せない。こんな政治を早く変えたいですね」
(細川豊史)