2014年5月3日(土)
日韓記者に“溝” 安重根記念館
中国・ハルビン
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中国外務省の案内で、日韓など外国メディアが4月29日、中国黒竜江省のハルビン駅構内にある朝鮮独立運動家・安重根(アン・ジュングン)の記念館を訪れました。記念館は1月19日に開館し、約100日で6万人以上が訪れています。
1909年10月、日本の朝鮮植民地化に反対する安重根は、ハルビン駅で初代韓国統監を務めた伊藤博文元首相を射殺。韓国では独立の英雄です。しかし日本政府は安重根を「テロリスト」(菅義偉官房長官)と指摘しています。
昨年6月の中韓首脳会談で、記念館設立が決定。記念館は、日本政府の歴史認識問題に対する中韓の連携強化の象徴的存在とされています。
日本メディアは記念館の副館長を囲み、「日中関係に悪影響があると思わないのか」「安重根は殺人者ではないのか」などと次々に質問。副館長は「安重根の義挙は東洋平和のため。記念館建設も東洋平和のためだ」と答えました。
それを聞いていた韓国メディアの記者が「なぜ日本メディアはあのような質問ばかりするのか」と悲しそうな目で聞いてきました。
「日本メディアの多くは、安重根記念館を“日本非難のための中韓共闘”と描いている。その不満が質問の背景にあるのだろう」と説明するしかありませんでした。
日中韓協力を唱えた「東洋平和論」の著者である安重根が日中韓対立の一因になっている現実は、歴史認識の溝の深さを痛感させます。 (ハルビン〈中国黒竜江省〉=小林拓也 写真も)