2014年5月3日(土)
改定生活保護省令
口頭申請は変わらず扶養義務強化も限定
政府が公布した改定生活保護法の厚生労働省令(4月18日)。当初案は、国会で「これまでと変わらない」と繰り返してきた答弁にも反する内容でしたが、同省は運動や国会論戦に押されて大幅修正しました。その中身を改めてみてみると―。
運動・論戦で大幅に修正
生活保護はこれまで口頭でも申請が認められており、田村憲久厚労相は「運用は変わらない」と繰り返し言明していました。
ところが省令案では、生活保護の申請を身体上の障害で字が書けないなど「特別な事情」に限定したり、申請時に書類提出を求める表現になっており、申請が締め出される危険性がありました。
省令では、「特別の事情」を削除。これまで通り、口頭の申請も認められることが明確になりました。
改定法では、親族などに対して生活保護の申請があったことを通知したり、報告を求めることができるよう扶養義務が強化されました。しかし、申請が締め出される危険があるため、国会答弁では「極めて限定的な場合に限って行う」などと明言していました。
ところが省令案では、原則として通知や報告要求を行い、(1)家庭裁判所を使って費用徴収を行う蓋然(がいぜん)性が高くない(2)家庭内暴力(DV)を受けている(3)自立に重大な支障を及ぼす恐れがある―場合に限って通知などをしないと規定。原則と例外が逆転していました。
省令では、(1)費用徴収を行う蓋然性が高い(2)DV被害を受けていない(3)自立に重大な支障を及ぼす恐れがない―のすべてを満たす極めて限定的な場合に限って行うことが明確にされました。