2014年4月30日(水)
保育室の避難設備緩和 厚労省の検討会
高層階に開所ねらう
保育室を建物の4階以上に設置する場合の避難階段要件について厚生労働省の検討会は、「屋外避難階段」だけを認めてきた基準を見直し、「屋内避難階段」でよいとする報告書を取りまとめました(1日発表)。厚労省は見直しに向け、省令などの改定を行う考えです。これに対し、子どもの生命・安全を守る基準を弱めて保育所を設置しやすくするものだと批判の声が上がっています。 (岩間萌子)
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現行の認可保育所の設備運営基準では、4階以上の保育室の避難設備は屋外避難階段のみを認めており、高層階に保育室を設ける歯止めとなっていました。屋外避難階段は、煙にまかれず、外から見えるため消防対応もしやすいなどの理由で設けられました。
報告書は、「屋外の傾斜路(スロープ)」や排煙設備を設け、一時退避できる空間を確保した屋内避難階段も「同等の安全」が確保されるとして認めることにしました。認可外保育所にも同基準を適用します。
避難階段要件の見直しは、財界人らでつくる規制改革会議が求めてきたもの。昨年5月の同会議の見解は、高層ビルなどに事業所内保育施設の設置を容易にするため、現行の基準が「阻害要因となる」とし、基準を見直すよう求めていました。
厚労省の検討会では、乳幼児が避難するのは困難だとして「(保育所を)安易に高層階に設置するようなことは避けるべきである」としながら、屋外避難階段と「同等の安全」が確保されれば屋内階段とする規制は必要ないとしました。
また、検討会は、高層階に保育室を設置する場合の検討事項を提示。外部からの救助を待つスペースの確保や避難訓練の実施などを挙げるだけにとどめています。