2014年4月23日(水)
競争力会議 財界提案
残業代ゼロ 過労死促進
政府が22日開いた経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議(議長・安倍晋三首相)で、産業競争力会議の雇用・人材分科会の主査である長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事が労働時間の規制を撤廃する制度導入の検討を求める文書を提出しました。提案された制度は、第1次安倍政権で断念した「残業代ゼロ・過労死促進制度」と同様のものです。
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「残業代ゼロ」制度導入の適用は当面、1000万円以上などの比較的高い年収を要件としています。しかし今後、子育て世代や若者世代においても「活用」を求めています。職務内容が明確な営業職などへの適用も検討課題となっています。
労働基準法は、人間らしい生活を保障するため、「1日8時間、1週40時間」という労働時間の上限を定めています。残業には割増賃金の支払いを義務づけています。
「残業代ゼロ制度」は、人間らしく働くルールを根こそぎ破壊し、ただ働きを広げ、際限ない長時間労働をもたらします。
長谷川氏の提案は、「業務遂行・健康管理を自律的に行おうとする個人」を対象に、「労働時間と報酬のリンクを外す」と強調。報酬は「労働時間とは峻別(しゅんべつ)して、その職務内容や目標達成度等を反映して」支払うとしています。これでは、労働時間の規制はまったくなくなり、何時間働いても賃金は変わらなくなります。
同制度の適用には、「任意」や「本人希望の尊重」を盛り込んでいます。しかし、使用者が人事や査定など、労働者に比べて圧倒的に強い力を持つ企業内ではいくらでも強要が可能です。
全国一律での展開ができない場合には、国家戦略特区や企業ごとに規制緩和を行う企業実証特区での検討を求めています。解雇をめぐる労使紛争の金銭解決の創設も提起しました。