2014年4月21日(月)
「カジノより観光資源活用」
共産党市議団主催 阿寒湖誘致考えるシンポ
大門議員 知恵と力集中を
北海道釧路
刑法が禁じるカジノ賭博場を阿寒湖温泉地区に誘致する構想が持ち上がっている北海道釧路市で20日、同市の蝦名大也(えびな・ひろや)市長、日本共産党の大門実紀史参院議員らが出席したカジノ問題を考える市民シンポジウムが開かれました。共産党釧路市議団(石川明美団長)の主催。カジノ推進、反対双方の論者が公の場で互いの立場を述べ合ったのは全国初。市民220人が熱心に聞き入りました。
反対・推進双方が発言
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阿寒湖へのカジノ誘致の動きは2000年代なかばから始まりました。市は今年3月の議会で、初のカジノ調査予算160万円を計上しています。(表参照)
蝦名市長は、かつて釧路を支えた漁業、炭鉱、製紙業という基幹産業がしぼむなか、「滞在型観光を進める努力をしてきたが、カジノを活用していくことを推進している。いまある産業や人を守るためにはこういう機能が必要だということで手をあげている」とのべました。
「ひがし北海道統合観光リゾートIR誘致協議会」幹事の杉村荘平氏も、「地域の未来を考えれば、カジノに取り組んでみる価値はある」としつつ、「ギャンブル依存症がある程度発生することは否定できない」とのべました。
クレジット・サラ金被害者救済交流団体「釧路はまなすの会」の加藤弘二会長は「ギャンブル依存症になった人たちを更生させることがどれだけ困難なことか考えてほしい。国がカジノを認めることに強い憤りを感じる」と話しました。
会場から、60代の男性がかつてパチスロにのめりこんだ経験にふれながら「『カジノありき』から発想をかえるべきではないか」と発言。設置予定地とされる阿寒町から参加した女性は「地域の住民は圧倒的にカジノに反対だ。みんな地元の温泉街のボスが積極的だから『声が出せない』といっている」として、「市長は住民の声を聞いてほしい」と訴えました。
蝦名市長は「みなさんに『どういたしましょうか』と聞くのが民主主義ではない。覚悟をもってカジノをしっかりすすめることが民主主義だ」と答え、会場からはあきれ声が。
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大門議員は「そもそも賭博は犯罪であり刑法で禁じられている意味と重みを考えるべきだ。一度“賭博場の町”となれば壊れたイメージは取り返せない。本来の観光資源を生かす道に知恵と力を集中すべきだ」と発言。「日本中のどこをみてもまちづくりに成功しているところは外からの『呼び込み』型ではなく、地域にある資源を生かしきって『内発的』な成長をとげています」と語りました。
まとめの発言で蝦名市長は「禁止するからアンダーグラウンド(ヤミ)の部分ができる。しっかり表に出してそれを監視していこうというのがこれからの流れだ」とのべました。
大門氏は、「国会でカジノをすすめている議員たちはとにかく、うさんくさい。地方がそれにまきこまれているということをもう一度冷静に考えてほしい」と指摘しました。
釧路市議会の黒木満議長が来賓あいさつしました。
阿寒湖カジノの動き
2005年 釧路商工会議所青年部がカジノ構想
06年 若手経済人による「釧路複合観光・ゲーミング誘致研究会」設立
08年 「研究会」が全国カジノ誘致団体協議会に加入
10年 釧路商工会議所青年部など模擬カジノパーティー
11年12月 市議会の共産党以外の6会派所属11議員がカジノ議員連盟
12年3月17日 第7回カジノ創設サミットINくしろ阿寒湖温泉
13年6月 「ひがし北海道統合観光リゾート誘致協議会」設立総会
同7月 蝦名大也市長が知事に面会し、阿寒湖温泉地区へのカジノ誘致を要請(道内の自治体で初、後に小樽、苫小牧が続く)
同10月 岩隈敏彦副市長が知事とともに自民党本部に細田博之氏訪問、IR関連法制の整備要望
14年3月 市が初のカジノ調査予算160万円計上
同4月20日 カジノ問題を考える市民シンポジウム