2014年4月19日(土)
解釈改憲阻止へ学者結集
「立憲デモクラシーの会」 国会内で会見
集団的自衛権行使容認のための解釈改憲を阻止しようと、さまざまな分野の学者による「立憲デモクラシーの会」が18日発足しました。呼びかけ人49氏のうち共同代表の奥平康弘・東大名誉教授(憲法学)、山口二郎・法政大教授(政治学)ら10氏が同日、国会内で記者会見しました。
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同会「設立趣旨」は「安倍政権は今までにない手法で政治の基本原理を覆そうとしている」と批判。「政権の好き勝手を許せば96条改正が再び提起され憲法は政治を縛る規範ではなくなる」と警告しています。脱原発や秘密保護法反対で能動的な市民運動が起きていることに注目し、「この動きをさらに広げて、憲法に従った政治を回復するために、あらゆる行動をとる」と宣言しています。
奥平氏は、日本版NSC(国家安全保障会議)設置や秘密保護法制定などの動きについて、「われわれに危機を感じさせるだけでなく、世界に“非常に変な動きをする国がある”との印象を抱かせている」と指摘。政治が危機にひんするなかで「国民の間に広く共感を勝ち得て世論を結集させていく義務がある」と述べました。
山口氏は、「選挙で勝ちさえすれば国会で何でもやっていいという理解がデモクラシー(民主主義)そのものを破壊する」と批判。上智大学の中野晃一教授(政治学)は、小選挙区制のもとで自民党が圧勝した2012年総選挙で同党は有権者全体の16%の支持しか得ていないと指摘し、「それをもって“われわれが民意だ”というのはありえない」と主張しました。
東大の石川健治教授(憲法学)は、解釈改憲の根拠に砂川判決を援用する議論について、同判決は「米軍が日本に駐留して自衛力を補充することを苦心惨憺(さんたん)して説明したもの」だとし、集団的自衛権の根拠とするのは「字面だけの議論で、お話にならない」と批判しました。
同会は25日にシンポジウムを開くほか、今後インターネットや各種メディアを通じて積極的に主張を発信していくとしています。
「立憲デモクラシーの会」設立呼びかけ人
【憲法学・法学関係】
愛敬浩二 名古屋大学・憲法学 青井未帆 学習院大学・憲法学 蟻川恒正 日本大学・憲法学 石川健治 東京大学・憲法学 稲正樹 国際基督教大学・憲法学 奥平康弘 東京大学名誉教授・憲法学 木村草太 首都大学東京・憲法学 小林節 慶応義塾大学名誉教授・憲法学 阪口正二郎 一橋大学・憲法学 高見勝利 上智大学・憲法学 谷口真由美 大阪国際大学・国際人権法 長谷部恭男 早稲田大学・憲法学 樋口陽一 東京大学名誉教授・憲法学 水島朝穂 早稲田大学・憲法学 最上敏樹 早稲田大学・国際法学【政治学関係】
石田憲 千葉大学・政治学 伊勢崎賢治 東京外国語大学・平和構築 遠藤誠治 成蹊大学・国際政治学 大竹弘二 南山大学・政治学 岡野八代 同志社大学・政治学 齋藤純一 早稲田大学・政治学 坂本義和 東京大学名誉教授・政治学 白井聡 文化学園大学・政治学 杉田敦 法政大学・政治学 千葉眞 国際基督教大学・政治学 中北浩爾 一橋大学・政治学 中野晃一 上智大学・政治学 西崎文子 東京大学・政治学 三浦まり 上智大学・政治学 柳沢協二 国際地政学研究所 山口二郎 法政大学・政治学【経済学関係】
金子勝 慶応義塾大学・経済学 中山智香子 東京外国語大学・社会思想 水野和夫 日本大学・経済学 諸富徹 京都大学・経済学【社会学関係】
市野川容孝 東京大学・社会学 上野千鶴子 立命館大学・社会学 大澤真幸 元京都大学教授・社会学【人文学関係】
内田樹 神戸女学院大学名誉教授・哲学 桂敬一 元東京大学教授・社会情報学 國分功一郎 高崎経済大学・哲学 小森陽一 東京大学・日本文学 佐藤学 学習院大学・教育学 島薗進 上智大学・宗教学 高橋哲哉 東京大学・哲学 林香里 東京大学・マス・コミュニケーション 西谷修 立教大学・思想史 三島憲一 元大阪大学教授・ドイツ思想【理系】
池内了 名古屋大学名誉教授・宇宙物理学