2014年4月16日(水)
麻袋再生 住民ら石綿被害
堺の工場 中皮腫など10人死亡
アスベスト(石綿)が入っていた麻袋をリサイクルする工場が1970年代まで堺市内で少なくとも5カ所で操業し、その労働者と家族、近隣住民14人が石綿被害を受け、うち10人が中皮腫などで死亡していたことが支援団体の調べでわかりました。「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(古川和子会長)が15日、被害者とともに記者団に説明しました。
死亡した労働者は、2人が肺がん、5人が中皮腫、1人が石綿肺でした。周辺住民・労働者家族では、中皮腫で2人が死亡しています。
使用後の麻袋に付着した石綿の粉じんを、ダクトの口につけて吸わせ、裁断して加工するなどの作業が行われていたといいます。
父親を石綿被害で亡くし、自らも胸膜プラーク(胸膜が厚く硬くなる症状)が付いていると診断された女性(54)は「中皮腫になるリスクが高いのも心配だが、風邪などでもせき込みがひどい」と将来の生活への不安を語りました。危険性が知らされていなかった子どものころ、石綿を扱う作業の一部は自宅の納屋でも行われており、親の仕事を手伝うこともあったといい、「早期発見のための健診と情報提供を強めてほしい」と訴えました。
事務局の片岡明彦さんは「石綿産業の多かった他の地域でもありうる問題。労働者以外の被害者も多いのに、そこに対策が行われていないのが問題で、それが救済の遅れや今回のような問題につながっている」と話しました。