2014年4月16日(水)
教育委員会制度「改革」案
宮本岳志議員の質問 (要旨)
衆院本会議
日本共産党の宮本岳志議員が15日の衆院本会議で行った教育委員会制度「改革」案の質問(要旨)は以下の通り。
本法案は、教育委員会を首長の支配の下におこうとするものです。教育委員長と教育長を一本化し、首長が直接、教育長を任命するとしています。教育委員会から教育長の任命権も教育長を指揮・監督する権限も奪うものです。では、その教育長を誰が監督するのですか。
首長が招集権限をもち、首長と教育委員会で組織される総合教育会議を設置し、首長が教育の振興に関する大綱を策定するとしています。大綱は「国の教育振興基本計画の基本的な方針を参酌して定める」としますが、国の方針通りに策定せよということではありませんか。「愛国心教育を推進する」など、教育の内容に踏み込んで首長が策定することも可能なのではありませんか。教育委員会は協議するだけで、大綱に従わなければならないのではありませんか。
教育委員会は形だけになり、首長が直接教育に介入することを容認し、教育の政治的中立性を脅かすことになるのではありませんか。
憲法が保障する教育の自由と自主性を侵害するものであり、断じて容認できません。
地方では、首長による教育への政治介入が問題になっています。
大阪市では、橋下徹市長が、全職員に対する違法な「思想調査」を行おうとしましたが、市教育委員会が否決し、学校現場を守りました。教育委員会が首長から独立した意思決定機関だからできたのです。
全国学力テストをめぐり、「平均点を上げるため管理職がカンニングさせる」など弊害が生まれています。しかし一部の首長は、平均点での学校ランクや平均点下位校の校長名公表など「もっと競争せよ」とあおっています。
教育委員会を首長の下におけば、不当な政治介入を止めることができなくなり、政治介入が助長されるのではありませんか。
戦後の教育委員会制度は、公選された教育委員が保護者や住民の意見をききながらその自治体の教育のあり方を決めるという民主的な制度として出発しました。しかし1956年に公選制は廃止され、この法律が強行されたのです。それから58年、教育委員会の形骸化が進み事務局が実権をにぎり硬直・閉鎖的な体質が広がったのです。
現在の教育委員会は、少なからず問題を抱えていると考えます。
教育委員会は、地方教育行政の意思決定を行う住民代表の合議体としての役割が十分発揮できておらず、教育委員会事務局の独走や事なかれ主義が問題を引き起こしています。背景には、歴代自民党政権が、「日の丸・君が代」「全国学力テスト」など、国の方針通りの教育を学校現場に押し付けるために教育委員会事務局を通じて教育委員会の自主性を奪ってきたことがあります。
大津市のいじめ自殺事件では、「いじめ」の隠蔽(いんぺい)を行ったのは教育委員会事務局でした。第三者調査委員会の報告書は、住民代表の教育委員たちが「蚊帳の外」におかれていた経過を指摘し、「今重要なことは教育長以下の事務局の独走をチェックすることであり、その一翼を担う存在としての教育委員の存在は決して小さいものではない」と指摘しています。
求められるのは、住民代表である教育委員会の機能と役割を強める方向での改革です。
総理は、教育基本法の改悪に続き本法案で教育委員会の独立性を奪い去り、いったい何を進めるのか。露骨な競争教育の推進と、歴史を偽る愛国心教育だと言わねばなりません。
総理は、侵略戦争への反省を「自虐的」と非難し、太平洋戦争を「アジア解放のための戦争」などと教える特異な教科書を賛美し、その採択を求めてきました。侵略戦争美化と「愛国心」教育など、安倍政権が狙うゆがんだ教育を首長のトップダウンを利用しながら各地に広げようとしているのではありませんか。
教育とは、子どものための社会全体の営みです。政治が何より行うべきは、教育条件の整備によって子どもの学ぶ権利を保障することであり、政治が教育内容に介入・支配するなどということは決してあってはなりません。