2014年4月16日(水)
きょうの潮流
人生80年時代といわれる現代。定年退職後、思い切った行動に出る人も。世界一周に旅立ったり、田舎で農業を始めたり…。衰えない意欲で新たな一歩を踏み出す勇気には敬服します▼第二の人生に向けた歩みはそれぞれですが、自転車でヨーロッパ大陸横断を敢行した人は珍しい。アジアとの境目トルコ・イスタンブールから大陸最西端のポルトガル・ロカ岬まで。じつに6000キロを、ひとりで走破しました▼挑んだのは、埼玉の教員だった中里清志さん。先ごろ、97日間の冒険の日々をつづった『65歳のチャレンジ』(文芸社)を発刊しました。そこでは、美しい風景や街並み、地元の人々とのふれあいとともに、地球温暖化に思いをはせています▼大草原や夕日に染まる山々、黄金の地中海を見ながら。あるいは車が飛び交う道路で身の危険を感じながら。自分の足を頼りにした旅中で、車社会からの転換や二酸化炭素の排出問題を考えます▼「地球の誰一人として、温暖化の影響を受けない人はいない」―。世界中の科学者による気候変動の新しい研究成果が公表されました。実態の深刻さとともに、温室ガスの削減に、かつてない国際協力を求めています▼対策のカギは再生可能エネルギーの飛躍的な拡大です。ところが安倍政権は、リスクの存在を指摘された原発を“重要電源”と位置づけ、自然エネルギーについては目標さえ示しません。内外を失望させた基本計画。きょうも70億人が暮らす、この地球を守るためにも正さなければ。