2014年4月13日(日)
国家公務員の人事評価
パワハラを助長
山下氏が指摘
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国家公務員の職場で2009年から人事評価制度が実施されています。総務省の「人事評価に対する検討会」は2月にまとめた報告書で、同制度の運用に「非常に難しい課題」があると指摘しました。日本共産党の山下芳生議員が10日の参院内閣委員会で、同制度がパワハラも助長していると批判しました。
人事評価制度は、職員の能力と業績を評価し、賃金などに反映させるものです。
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は12年にアンケートを実施。5省庁の約5000人が回答し、「本来、求められる仕事は何なのかという視点を失い、数値目標だけが重視される」という人は60%にも上りました。「評価者(上司)ごとに評価基準があいまい」との回答も過半数を占めました。
山下氏は委員会で「公務は国民の権利を保障する仕事だ。数値目標による人事評価はなじまない」と指摘。稲田朋美行政改革担当相も「私もその通りだと思う。民間でも数値目標になじまないものもある」と答えました。しかし、現行制度を改善する考えは示しませんでした。
人事院が行っている「苦情相談」の3割はパワハラです。
山下氏は「自らの成果を上げるために部下に目標を求めることも起きている。パワハラを助長することになっている」と告発しました。稲田担当相が「人事評価がパワハラの原因になってはならない」と答えたのに対し、山下氏は「そうなってしまう構造的な問題がある。評価する上司自身も評価されるからだ」と指摘しました。
富士通総研・経済研究所のリポート「成果主義と社員の健康」(11年)は、成果主義の導入と、うつ病など精神疾患による長期休業者の増加との関係を指摘しています。
国家公務員の長期病休者(11年度)のうち、20代の8割、30代の7割超が精神疾患です。稲田担当相は山下氏に「非常に大きな課題だ」と答え、メンタルヘルス対策を強化すると述べました。