2014年4月12日(土)
新たな「安全神話」にもとづく原発推進路線の撤回を求める
――「エネルギー基本計画」の閣議決定について
日本共産党幹部会委員長 志位和夫
(1)
安倍政権は、本日、「エネルギー基本計画」の閣議決定をおこなった。
「基本計画」は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて、今後も一定割合は必ず原発を使い続けるということを示すものとなっており、事実上の「原発永久化宣言」にほかならない。
東京電力・福島第1原発事故から3年、「原発ゼロ」を願う国民の世論は圧倒的多数である。自公両党も、2012年総選挙で、「原子力に依存しなくてもよい経済・社会」(自民)、「可能な限り速やかに原発ゼロ」(公明)と公約していた。
日本共産党は、国民への公約を投げ捨て、原発依存社会へ逆戻りする「エネルギー基本計画」を撤回することを求める。
(2)
「エネルギー基本計画」の策定にあたって、福島原発事故にどう向き合うかがきびしく問われた。
「基本計画」の策定の過程で、自公両党の「修正合意」によって、政府の当初案の「はじめに」の中に明記されていた「安全神話」への「深い反省」が削除されるという事態が起こった。福島の地元住民や首長をはじめ広範な国民から怒りと抗議の声が相次ぎ、閣議決定された「基本計画」では、「安全神話」への「深い反省」が「復活」させられた。
しかし、「安全神話」への「深い反省」は言葉のうえだけのものである。「基本計画」には、「世界で最も厳しい水準の規制基準」に適合した原発の再稼働を進めることが明記された。「規制基準」が、「事故ゼロ」を保証するものではないことは、原子力規制委員会自身が認めているにもかかわらず、安倍首相は、「基準」に適合した原発は「安全」だとして再稼働をはかることを繰り返し強弁している。これは新たな「安全神話」を復活させるものにほかならない。
事故はいまだに収束しておらず、13万人を超える方々が避難生活を強いられている。事故原因の究明はなお途上であり、まともな避難計画さえつくられていない。新たな「安全神話」による原発再稼働の強行は、断じて認められない。
いま政治に求められているのは、再稼働を断念し、「即時原発ゼロ」の決断をおこなうことである。
(3)
「基本計画」では、原発を「重要なベースロード電源」と位置づける理由として、「コストが低廉で供給が安定している」ことをあげている。
しかし、「核のゴミ」や事故処理の費用を含めれば、原発は「究極の高コスト」電源であり、ひとたび事故をおこせば一気に大電力がなくなる「最悪の不安定」電源である。原発が、「ベースロード電源」などには決してなりえないことは、福島原発の大事故が明らかにしたことである。
「基本計画」は、「もんじゅ」をはじめ核燃料サイクルの推進を明記している。すでに破たんは明らかで、何の技術的な展望もなく、危険極まりない同事業はただちに中止すべきである。
福島原発事故は、人類と原発は共存できないことを示した。日本共産党は、「原発ゼロ」の日本を願い、原発の再稼働に反対するすべての人々と共同して、全力を尽くす決意である。