2014年4月11日(金)
ギリシャでゼネスト
「緊縮終わらせるために」 4年間に“深い傷”
【パリ=浅田信幸】ギリシャで9日、政府が国際融資機関と一体となって推し進める緊縮政策に反対し、二大労組が呼びかける24時間ゼネストが行われました。首都アテネや第2の都市テッサロニキで、2万人の労働者や失業者、年金生活者がデモ行進しました。
労働総同盟(GSEE)はゼネストにあたり声明を発表し、「労働者を搾り上げ、国民を困窮させる袋小路政策へのわれわれの回答」であり、「緊縮を終わらせるためにストライキを行い、たたかい続ける」と訴えました。
ゼネストへの参加は、学校の教職員から刑務所の看守、裁判所の職員、病院の医師や看護師、国鉄労働者、船員組合など広範囲にわたりました。学校や大学は全国的に休校、本土と島々を結ぶフェリーの多くは欠航、病院は救急部門だけを残して休業し、薬局もほとんどが閉まったままになりました。
ギリシャは国庫収支が改善し、債券市場への復帰が話題となる一方、政府は新たな緊縮策で公務員1万1500人の削減を決定したばかりです。
2010年の債務危機から4年間、国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)による融資の条件とされた緊縮政策と構造改革は「ギリシャの様相を根本から変えた」(仏紙ルモンド)と指摘されるほど深い傷痕を残しています。
公務員はこの4年間に20万人削減、医療保険や教育予算も軒並み30%近く削られ、国民は可処分所得の3分の1を失いました。2008年に78万社あった中小企業のうち24万社が倒産。失業率は28%に達し、医療保険を受けられない人が国民の2〜3割にものぼります。
ギリシャは総額2400億ユーロ(約34兆円)の国際支援を受けていますが、その77%は金融機関の救済に費やされ、国民の雇用や生活、健康を守ることには使われていません。
アテネからの報道によると、デモの中からは「EUとIMFは救済策を持って出ていけ」の叫び声が上がり、ある中学教員は「債券市場への復帰でいわれていることは、われわれ労働者には何の関係もない」と語っています。ロイター通信は「銀行ではなく国民を助ける時だ」というエコノミストの声を伝えました。