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2014年4月11日(金)

主張

「国民投票法」

何のため、誰のための改定か

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 自民、民主、公明など与野党7党が、憲法改正の手続きを定めた「国民投票法」(改憲手続き法)の改定案を国会に提出し、今国会での成立を目指しています。改憲手続き法を改定するといっても、憲法改正が国民の世論になっているわけでも、差し迫った政治課題になっているわけでもありません。憲法改正を望まない国民はむしろ増えており、明文改憲にも解釈改憲にも反対というのが多数です。いったい何のため、誰のための改憲手続き法の改定なのか。日本共産党は改定に反対し、国民投票法は廃止すべきだという立場です。

改憲手続き法なくても

 国民投票法は、憲法の施行から半世紀、憲法改正やその手続きが問題になったこともなかったのに、第1次安倍晋三政権時代の2007年に自民、公明両党などが突然持ち出して成立させたものです。当時、任期中の改憲を目指した安倍政権が、改憲の環境づくりにとねらいました。

 しかし、自衛隊を文字通りの軍隊にするなど憲法9条に的を絞った改憲策動は国民の反対で挫折し、成立させられた国民投票法に出番はありませんでした。国民投票法がなかった半世紀と同じく、国民投票法ができた後のこの10年近くも、改憲が国民世論になり、改憲手続きが国民の具体的な関心になることはなかったのです。

 最近の世論調査でも、憲法を「改正する方がいい」という声は、「読売」の調査(3月15日付)でも42%と昨年より減って「変えない方がいい」の41%と並び、「朝日」の調査(7日付)では「変える必要がない」の50%が「変える必要がある」の44%を上回っています。戦争を放棄した9条についてはどの調査でも「改正しない」が多数で、「朝日」の調査では「変えない方がいい」が昨年の52%から64%に増えました。憲法改正は国民の世論ではなく、国民投票法を改定する必要などさらさらないのです。

 ではなぜいま「国民投票法」を改定するのか。改憲を何が何でも実現したいという一部の改憲勢力にとっては、国民投票法の改定は、いつでも改憲に動きだせるよう改憲の環境づくりになることは明らかです。国民投票法は成立したときから、投票年齢を18歳に引き下げ選挙権や成人年齢もそれに合わせることや、公務員の政治活動を緩和することなどが課題となっていました。今回の改定は、国民投票についてだけ投票年齢を4年後に18歳に引き下げるなどとしています。国民投票の体裁を整え、国民投票をしやすくしようというねらいです。いつでも改憲案を持ち出せる、改憲のための環境づくりの魂胆は見過ごせません。

18歳選挙権は先送りし

 国民投票法改定が改憲の環境づくりであることは、本来国民投票年齢の引き下げと一体で検討するはずだった選挙権や成人年齢の引き下げが切り離され、先延ばしされていることからも明らかです。18歳選挙権は国際社会の常識であり、国民投票年齢は引き下げながら18歳選挙権の実施は先送りするなどというのは通用しません。

 もちろん国民投票法を改定したからといって国民の間で改憲世論が盛り上がっているわけでもないのに改憲を進めるなど本末転倒です。改憲のための国民投票法の改定をやめるとともに、憲法を守り生かしていくことこそ重要です。


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