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2014年4月9日(水)

主張

就学援助の対象減

「影響させぬ」の約束はどこへ

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 経済的な理由で就学が困難な小中学生に学用品代などを支援する就学援助の支給対象を、4月から減らそうとする市町村が生まれています。安倍晋三政権が強行した生活保護基準引き下げに連動したものです。これまで利用できた低所得世帯が就学援助から締め出される危険が現実のものとなっています。お金がないために子どもたちが十分な教育を受けられない事態に、拍車をかけることは絶対に許されません。

生活保護削減と連動

 就学援助は、学校教育法にもとづき、家計が苦しい世帯の小中学生に学用品、修学旅行、給食、部活動などの費用を支給する仕組みです。2012年度は、生活保護世帯約15万人、市町村の独自基準で支給を決めた低所得世帯約140万人の合計約155万人が利用しました。利用率は過去最高の約16%、小中学生のおよそ6人に1人が援助を受けている計算です。親の低賃金や失業などで貧困が拡大するなか、子どもの教育を支えるために役割を果たしています。

 4月から複数の市町村が、就学援助の対象を縮減しようとしているのは、生活保護基準引き下げが昨年8月から始まったためです。安倍政権は3年かけて保護費の支給基準を6・5%削減(消費税増税対応分を除く)する計画です。市町村のほとんどは就学援助の支給を決める所得基準を生活保護基準の1・3倍未満などと定めているため、生活保護基準引き下げと合わせて、機械的に基準を引き下げるところが生まれているのです。

 このままでは、収入は増えないのに基準が下げられたため、前年まで使えた就学援助の対象から外される世帯が続出することも避けられません。消費税増税によって必要最低限の学用品をそろえるだけでも負担は増えるというのに、頼みにしていた就学援助が受けられなくなる―。こんな理不尽きわまることはありません。

 生活保護基準引き下げは生活保護受給世帯の暮らしを直撃するもので、それ自体まったく不当です。それだけでなく生活保護基準は、「貧困の最低ライン」の目安として就学援助をはじめ、住民税非課税範囲、医療・年金の保険料、保育料の減免基準、最低賃金額など40程度の制度に影響を与えます。

 保護基準引き下げに反対する国民の声が広がるなか、安倍政権の閣僚は「他制度に影響させない仕組みを考える」と繰り返しました。しかし、地方自治体に財政的な裏づけもない「要請」しかしていないため、今回の就学援助の縮減という事態をもたらしているのです。国民をごまかして生活保護基準引き下げを強行した安倍政権の責任はきわめて重大です。

基準引き下げ中止を

 住民の要求や運動の力で、就学援助を生活保護基準引き下げと連動させず、独自の手だてで対象を減らさない市町村も少なくありません。しかし今年度は引き下げなくても15年度は引き下げる動きも出ています。国は全市町村が就学援助を縮減しないよう緊急に対策を講じるべきです。

 就学援助縮減は、今年施行された子どもの貧困対策法に完全に逆行します。生活保護基準引き下げが国民の暮らしに広範で深刻な影響を与える害悪はいよいよ明白です。道理も大義もない基準引き下げの中止を決断すべきです。


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