2014年4月8日(火)
きょうの潮流
『戦争論』という本があります。19世紀のプロイセン軍人・クラウゼウィッツの著書で、「戦争は他の手段による政策の延長」というフレーズが有名です▼興味深いのは、「戦争を支配する三つの要素」です。クラウゼウィッツは、(1)国民の熱狂(2)軍隊の能力(3)政府の理性―の3要素が戦争遂行の条件だと指摘します▼安倍政権が「戦争する国」づくりを狙っている日本に、この3要素をあてはめるとどうか。一部の国を敵視して「熱狂」をあおるような論調もありますが、幸いにして国民の多くは冷静です。63%が「集団的自衛権の行使に反対」、64%が「憲法9条を変えない方がよい」と回答した世論調査も出ています。国民の大多数は戦争を望んでいないと、はっきりいえます▼逆に「政府の理性」は危ういものがあります。安倍晋三首相は、何がなんでも集団的自衛権の行使をと、過去の自民党政権が積み上げてきた憲法解釈さえ「私が責任者」だとして捨て去る、軍事費を増やして中国との対立をあおり、武器輸出も全面的に解禁する…▼クラウゼウィッツの考えは、国民の熱狂に押された政府が、理性をもって戦争を判断するということでしたが、この国では逆。国民が日本の防衛とは無関係な集団的自衛権の本質や、「憲法は政府を縛る」という立憲主義を学び、「政府の熱狂」を抑えています▼本日夜、東京・日比谷野外音楽堂で「解釈で憲法9条を壊すな!4・8大集会」が開かれます。国民の「理性」を示す絶好の機会です。