2014年4月7日(月)
米オバマ氏 経済成長、中間層支援で
富裕層優遇ノー 野党予算案を批判
【ワシントン=洞口昇幸】オバマ米大統領は5日、土曜恒例のラジオ・インターネット演説で、野党共和党のポール・ライアン下院予算委員長が1日に公表した予算案について、「働く米国民が成功することがよりむずかしくなっている時に、わずかな幸運な人たちを利する政策は今、必要ない」と富裕層優遇の内容であることを批判しました。
オバマ氏は「共和党の予算案は、年収100万ドル(約1億300万円)以上の世帯に大減税というばらまきをしようというもの」と指摘。ライアン氏の財政赤字削減策に対しては「子どもを持つ中間所得層の世帯に増税し、雇用創出のための教育や科学研究への投資の大幅削減を押しつけるもの」と批判しました。
ライアン氏が公表した予算案は、2024年までに新税の導入なしに予算の均衡を達成するとして、10年間で総額5兆1000億ドルの歳出削減を盛り込んでいます。
削減分のうち約2兆1000億ドルは、オバマ政権の目玉政策の一つ、医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止することでねん出するとしています。フードスタンプ(低所得者向け食料費補助制度)やメディケア(高齢者向け公的医療保険制度)などの予算も削減。一方で、国防費は増額するとしています。
オバマ氏は同演説で、「米国経済の成長は、上から下(への波及効果)ではなく、中間層によってこそ、もたらされる」と、米国経済の7割を占める消費の主要な担い手、中間所得層対策の強化を改めて強調しました。
ロイター通信によると、ライアン氏の予算案の歳出削減幅は、共和党内の右翼強硬派ティーパーティー(茶会)系議員にとっては不十分で、一部の穏健派議員にとっては大きすぎるとみられており、党内で支持を得られるかは不透明とされています。