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2014年4月7日(月)

主張

国家戦略特区指定

「財界ドリル」で暮らし壊すな

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 安倍晋三内閣が、「大胆な規制改革を実行する突破口」と位置づける国家戦略特別区域(特区)に東京圏など6地域を指定しました。特区ごとに計画を決め、夏にも始動させる構えです。「世界で一番ビジネスのしやすい環境」を地域先行でつくり、全国に拡大するのが狙いです。国民の安全や権利などを保障する仕組みを、大企業のもうけにとって“邪魔”と決めつけ次々撤廃する方針です。暮らしを壊す特区は、やめるべきです。

規制撤廃を競わせる

 国家戦略特区は、「成長戦略実行国会」と銘打った昨年の臨時国会で、安倍政権と与党が、産業競争力強化法と抱き合わせで成立させた国家戦略特区法が根拠です。大企業が「活躍しやすい国」にするため、手始めとして「地域限定」で、雇用、医療、教育、農業、都市開発などの分野で、「規制」を緩和・撤廃することをめざします。企業を呼び込む税制の優遇策も整えます。まさに大企業のために至れり尽くせりです。

 一定地域で独自の制度を認める「特区」はこれまでも実施されましたが、今回の国家戦略特区は従来とまったく異なります。安倍首相が議長を務める「特区諮問会議」が強い権限を持ち、“上”から決める仕組みだからです。

 この諮問会議は、大企業役員や竹中平蔵元経済財政相ら財界利益を代弁するメンバーで固められています。特区として認められるかどうかは、地方からの要望ではなく、財界のメガネにかなうかどうか、が実態なのです。

 今回の6地域指定でも、安倍政権と諮問会議が強力な権限をふるいました。兵庫県養(や)父(ぶ)市が指定されたのは、同市の農業委員会の権限縮小案が全国に例のない「勇猛果敢」なモデルケースと諮問会議で高い評価をえたからです。福岡市の指定は、雇用規制をなくす「改革拠点」になりうる熱意が買われたといわれています。一方、東京圏については、東京五輪とからめた多国籍企業の受け入れ促進策などを評価しつつも、雇用分野は不十分とクギをさし、「規制改革の一層の充実」を迫りました。地域の間で「規制緩和」の先陣争いをさせて、規制撤廃を全国的に加速させる狙いは明白です。

 諮問会議が、雇用規制の撤廃をにらんだ「雇用指針」を了承したことは重大です。国民のたたかいによって特区法に、“解雇自由”の仕組みを直接盛り込むことは許しませんでしたが、今回の「雇用指針」が戦略特区で使われることで“首切り自由”の地ならしにされかねません。「解雇特区」の導入はきっぱり断念すべきです。

 安倍首相は、戦略特区をテコにした規制撤廃をドリルの刃に例え、「私の『ドリル』から無傷ではいられない」と公言しました。財界・大企業のために国民の暮らしを守る制度に大穴を開けるという容赦ない宣言です。国民の雇用や安全をズタズタにするドリルを振り回す政治は絶対に認められません。

国民の権利守ってこそ

 大企業が思いのままに活動できる国は、国民にとって「ルールなき無法地帯」です。大企業の「成長戦略」が、国民生活と日本経済を苦境に追い込むことは、この間の「構造改革」の破たんからも明らかです。国民と労働者の暮らしと権利を守るルールを確立・強化することこそが急がれます。


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