2014年4月5日(土)
独ロ関係が険悪に
クリミア併合めぐり
【パリ=浅田信幸】ウクライナ危機をめぐるロシアと欧米の対立が深まる中、ロシアに対して最も融和的だとみられたドイツとロシアの関係も険しさを増しています。
ロシア外務省は3日、ショイブレ独財務相がクリミア併合を第2次世界大戦期のナチス・ヒトラーの領土拡張になぞらえたことに抗議する声明を発表しました。
ショイブレ氏は今週初め、学生を相手にした講演で、ロシアのプーチン大統領がロシア系住民の保護を理由にクリミアを併合したことについて、「ヒトラーがズデーテン地方を奪うために使った方法だ」と発言。1938年、当時300万人のドイツ系住民がいたチェコスロバキアの同地方をナチス・ドイツが併合し、翌年には全土を侵略したことになぞらえました。
独ロは経済関係も強く、メルケル独首相はウクライナ危機発生後もプーチン氏と最も数多く電話会談を行い、対ロ制裁にも慎重な姿勢をとってきました。クリミア併合後、メルケル氏は対ロ制裁強化で欧州連合(EU)を主導。閣僚の発言や声明でも、両国関係では異例の厳しい言葉が飛び交うようになっています。