2014年4月5日(土)
きょうの潮流
先日、叔母夫婦の金婚式を祝いました。大勢の子どもや孫、親類に囲まれ、感に堪えない2人。この幸せを胸に、これからも生きてゆきたいと、喜びをかみしめていました▼まじめに歩んできた人が安心して暮らせる社会、まじめに生きようとする人が報いられる社会―。その基盤をつくることが、国の社会保障の本来でしょう。ところが、生活を支えるはずの制度が、安倍政権のもとで壊されようとしています▼消費税が8%に上がった4月、増税以外にも身の回りの負担が重くのしかかります。医療費や介護の保険料は引き上げられ、年金は減額。子育てにも冷たい。これだけ圧迫しながら増税は社会保障のため、などとよく口にできたものです▼生活保護者は4カ月連続で過去最多を記録。世帯数も160万に迫っています。「低い年金などで生活が苦しく、保護を受ける高齢者が増えつづけている」と厚労省。国民に自己責任をかぶせる政治は、人びとを追い詰めます▼青年向けの漫画週刊誌『ビッグコミックスピリッツ』が今週号から、「健康で文化的な最低限度の生活」と題する新連載を始めました。福祉事務所生活課に配属された新卒の公務員が、生活保護の現実を目の当たりにしていく話です▼憲法が定めた、すべての国民に国が責任をもつ、人間らしい生活とは―。人の住まい、人の暮らしを見ながら、感じる怒り、悲しみ、矛盾…。生きる安心を奪う社会ではなく、生きる希望が湧き出てくる社会へ。身近な笑顔を守るためにも。