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2014年4月1日(火)

主張

導入26年目の増税

この歪みはもう見過ごせない

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 日付が変わったとたん、いっせいに張り替えられる料金表や値札、1円単位の運賃値上げに戸惑う利用者―。消費税の増税が強行されました。消費税が1989年4月1日から導入されたさい3%で始まった税率は、97年に5%に引き上げられ、今回8%になりました。来年10月からはさらに10%の税率が待ち構えています。低所得者ほど負担が重い不公平な税制で、国民の暮らしと営業を圧迫するとともに、税財政と経済を歪(ゆが)める欠陥は、誰の目にも明らかです。

「広く、厚く」の衝撃

 いまから4半世紀以上も前から、大平正芳、中曽根康弘などの歴代自民党政権が繰り返し導入をたくらみ、最終的に竹下登政権が財界に後押しされて導入を決めた消費税は、直接税中心、累進課税など戦後の税の原則を根本的に転換するものでした。「簡素」で「公平」などの口実で、「広く、薄く」課税し、安定的な税収を確保するというのがそのうたい文句でした。導入から4半世紀あまり、繰り返される増税で「広く、薄く」どころか「広く、厚く」課税されるというのが国民の実感です。

 消費税が、商品であれ、サービスであれ、取引のたびごとに「広く」課税される税金であることは、導入時も現在も変わりません。せめて食料品など生活必需品は課税の例外にという声さえ、歴代政権は踏みにじり続けています。税率だけは3%から5%、さらに8%から10%へと上がり続けます。「広く、薄く」などということばは、もはやまったく“死語”です。

 歴代政権は消費税を導入する際、直接税と間接税の比率を是正すると宣伝しました。確かに法人税や所得税の最高税率は引き下げられましたが、それで負担が減ったのは大企業や高額所得者です。この26年間に消費税累計は282兆円にのぼるのに、法人税の累計は255兆円も減っていることが示すように、国民の負担で大企業などの負担を減らしています。

 消費税はいまや法人税や所得税の税収さえ上回る「基幹税」です。景気の低迷に加え、税を負担する能力がある大企業や高額所得者から取るべき税をとらないため税収は増えず、財政危機は深刻化の一方です。税収が足りないからと社会保障の削減を押し付け、消費税増税のめどが立てばそれをあてこんで軍事費や大型開発の予算を増やすという政治では、財政のゆがみは激しくなるばかりです。

 もともと低所得者ほど負担が重い消費税は、貧困と格差を激しくする点でも重大です。「ワーキングプア」といわれる貧困層にも消費税の負担は押し付けられます。日本社会の貧困と格差の拡大は、賃金の抑制や非正規雇用の拡大などが背景ですが、低所得者ほど負担が重い消費税中心の税制は、それに拍車をかけます。貧困と格差是正のうえからも、消費税中心の税制はもはや放置できません。

羊は決して沈黙しない

 かつて大型間接税を導入しようとした中曽根首相が「羊は泣かさず毛をむしるのが極意」といいました。消費税の危険性を浮き彫りにしたことばですが、国民は決して消費税の導入や増税を黙って受け入れません。

 国民の暮らしと経済を破壊する消費税増税の危険は明らかです。国民は黙っていないことを安倍政権に見せ付ける必要があります。


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