2014年3月31日(月)
タイ 上院選を実施
反政府勢力が政変狙う
【ハノイ=松本眞志】タイで30日、上院議会選挙が行われました。首相や閣僚らを罷免する権限を持つ上院の動向は政局に大きな影響力を及ぼしそうです。
定数すべてが国民によって選出される下院議会と異なり、上院議会では定数150議席のうち公選議員は、全県から1人ずつの77人のみ。残り73議席は裁判所判事や国家汚職追放委員会(NACC)などの代表によって任命されます。いずれも反政府勢力の拠点で、任命議員の大半は反政府寄りになるとみられています。
上院議会は1997年の憲法改正で任命制から公選制となりましたが、2006年のタクシン元首相を追放したクーデター後に制定された憲法で、一部任命制に戻されました。政府与党タイ貢献党は、昨年、再度上院議員すべてを選挙で選ぶ憲法改定案を提出しました。しかし、憲法裁は昨年11月に憲法改定案を違憲と決定。NACCは改憲案賛成の議員を「不正行為」容疑で調査すると威嚇し、巻き返しをはかりました。
現在、インラック首相は、コメ融資制度の資金問題で、「不正を見逃した」と主張するNACCによる調査を受けています。上院で反政府勢力が多数となれば、NACCが上院に告発、上院は首相の解任手続きを行い、そのまま政権退陣となることが予想されます。
投票前日の29日には、反政府勢力が首都バンコクで数万人規模の集会を開いて政府に圧力をかける行為に出ました。
反政府勢力指導者の1人、ウィッタヤ氏は「われわれは、上院選挙を妨害はしない。立法・行政機関の改革を求めている。上院議会は改革計画にとって重要だからだ」と述べました。
NACCのビチャ・マハクン報道官は「いつ首相を告発するかどうか期限は決めていない。彼女の弁明を聞くために31日まで待たなければならない」と語りました。