2014年3月30日(日)
消費税増税分「すべて社会保障に」はウソ
大半は財源を置き換え
「(消費税の)増収分5兆円はすべて子育て・医療・介護・年金といった社会保障のために使われます」といって財源が確保されたり、充実するかのように宣伝している政府広報。そのウソを改めて見てみると―。
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増税分5兆円の「使途」のうち8割以上を占めるのが、「年金国庫負担分2分の1の恒久化」と「既存の社会保障の安定財源確保」です(グラフ)。これはすでに実施している分の財源を消費税に置き換えただけです。
一方、社会保障「充実」として「子育て支援」に約0・3兆円、「医療・介護等の支援」に約0・2兆円を充てるとしています。
しかし、「支援」の名で行おうとしているのは、保育水準の引き下げによる詰め込みや入院患者の追い出しなど制度改悪が中心です。
約0・2兆円は、消費税増税による「社会保障支出の増加分」です。診療報酬などを引き上げるもので、出して当然のものです。
年金国庫負担は、年金課税の強化(04年)と所得税・住民税の定率減税の縮減・廃止(06〜07年)で財源を確保していたものです。それを消費税に付け替えるのは、“詐欺”も同然です。
「既存の社会保障の安定財源確保」について政府広報は「次世代へのつけ回し軽減」などと財源がないかのように説明しています。しかし、今でも社会保障の財源は消費税も含めた一般財源で確保されています。「付け回し軽減」とは、財源を消費税に置き換える口実にすぎません。
こうやって既存の社会保障財源を消費税増税分に置き換えれば、浮いた分は他の財源に回せます。安倍内閣は震災復興増税の企業負担廃止など大企業減税や公共事業、軍事費のバラマキを進めています。「すべて社会保障に」というのはでたらめです。
さらに安倍内閣は、3兆5450億円にのぼる社会保障の負担増・給付減を計画しています。これが実施されると、10%への消費税増税時に社会保障「充実」に回るとしている2兆8千億円も吹き飛びます。
安倍内閣がねらう負担増・給付減
●70〜74歳の患者負担1割→2割
4000億円
●入院給食の原則自己負担化
5000億円
●介護保険利用者負担1割→2割(一定所得者)
750億円
●介護保険施設の食費・居住費補助縮小
700億円
●年金の「特例水準解消」
1兆円
●年金の「マクロ経済スライド」
1兆5000億円