2014年3月29日(土)
「クリミア編入無効」の国連総会決議
各国が対話強調
棄権国も「ウクライナ主権尊重」
【ワシントン=洞口昇幸】ロシアによるウクライナ南部クリミア編入を認めないとした27日の国連総会決議は、国連加盟193カ国の過半数となる100カ国の支持を得ました。ウクライナ代表は決議採択後、「国際社会はクリミアで起こっていることを認めないという極めて重要なメッセージを送った」と歓迎しました。
決議には欧米、アジアのほとんどの国が賛成しました。反対はロシア、キューバ、北朝鮮など11カ国。中国、ブラジルなど58カ国が棄権しました。
決議に賛成した国々からは「ウクライナの将来は、外部のいかなる影響もないなかで、全てのウクライナ国民の自由意思と希望から決定される」(東欧・モルドバの代表)などの意見がありました。
トルコの代表は、軍事介入の下でロシア編入を支持したウクライナ南部クリミアの住民投票は、ウクライナ憲法などに違反し、法的有効性を持たないと主張。外交による政治的解決を訴えました。
北アフリカのリビアの代表は、ロシアの軍事介入について、国家主権と領土保全の原則を無視するものと指摘。国境の変化は関係国の憲法や国内法の枠内で保障されなければならないと述べ、解決には対話が必要であると強調しました。
タイの代表は、ウクライナ危機に関係する全ての者の利益を反映した平和的解決のためのドアは、開いたままにしておかなければならないと述べました。
棄権した国々もウクライナの主権を尊重すべきだという立場を表明しました。中国代表は、「総会決議の採択は事態を複雑にするだけだ」と述べる一方で、国連事務総長による仲介外交に支持を表明し、国内問題への不干渉、全ての国の主権と領土保全を尊重すると強調。ブラジル代表は、ウクライナ危機に関わる関係国など全てに、緊張を段階的に縮小するなかでの建設的な対話を促しました。
一方でキューバ代表は、他国の主権を脅かして国際法を破ってきた欧米諸国の「ダブルスタンダード(二重基準)」を批判し、決議に反対しました。