2014年3月28日(金)
主張
国民投票法改定
国民望まぬ改憲の策動やめよ
自民、公明の与党が、民主党やみんなの党など一部の野党と連携して、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改定案を国会に提出しようとしています。国民投票法の改定は改憲に向けた策動を前に進めるのが狙いです。国民の多くは憲法の改定を望んでおらず、改憲は切迫した課題にもなっていません。憲法解釈の変更で「集団的自衛権」の行使を容認しようとする策動とともに、憲法9条に狙いをあてた明文改憲の策動も阻止することが急務です。
9条の改憲に狙い
国民投票法はもともと第1次安倍晋三政権時代の2007年に自・公の与党が中心になって成立させたものです。日本国憲法は憲法改正について96条で、国会議員の各院の3分の2以上の議員の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成が得られれば承認すると定めています。国民投票法はそのための具体的な手続きを定めたものですが、戦後憲法ができてから国民投票法ができるまでの60年あまり、改憲手続き法(国民投票法)がなくても何の不都合もありませんでした。国民が改憲を望まず、憲法改正が具体的な政治日程に上ることはなかったからです。
第1次安倍政権が改憲手続きを定めた国民投票法を持ち出してきたのも国民が望んだためではなく、自らの任期中に改憲を実現したいという安倍首相のよこしまな野望からでした。当時自民党は「新憲法草案」で憲法9条を改定して自衛隊を「自衛軍」と明記するなど、戦争を放棄した憲法9条に的を絞った改憲を策動していました。国民がこうした狙いを許さなかったことは、国民投票法が成立して7年近くたつのに、いまだに自・公両党が改憲案を持ち出せないでいることでも明らかです。
この間、自民などの改憲勢力は、自民党が自衛隊を「国防軍」とするなど新たな「改憲草案」を持ち出し、国会に憲法審査会を設置するなど改憲に向けての策動を続けてきました。一昨年末政権に復帰した安倍氏は、改憲を目指す意図を隠そうとせず、憲法改正の発議要件を引き下げる憲法96条の改定などを策動してきました。
しかし国民の間では改憲どころか「憲法9条を守れ」という声がますます高まり、憲法9条を守れの一点での「九条の会」の運動は全国に広がっています。最近の「読売」の調査(15日付)でも、憲法を「改正したほうがよい」という答えが42%と1年前の調査より9ポイントも下がり、10ポイント増えた「改正しないほうがよい」の41%と拮抗(きっこう)しました。9条だけでみれば「改正する」は30%しかありません。国民が改憲を決して望んでいないのは明らかです。
改定ではなく廃止こそ
国民が望んでもいないのに、改憲の策動をすすめるためだけに国民投票法を改定しようなどという策動は許されません。国民投票法は改憲のための国民投票の手続きを定めながら、最低投票率の定めがないなど欠陥法です。改定ではなく、廃止こそ国民の意思にそっています。自公などが持ち出している改定内容も、国民投票の18歳選挙権の実施は引き延ばし、公務員などへの投票運動への規制を続けるものです。
改憲の環境づくりのための国民投票法改定の策動はやめさせ、憲法を守り生かすことが重要です。