2014年3月25日(火)
溶ける維新
民意との矛盾深め 政党の体をなさず
「政党として溶解の危機」(「朝日」24日付)。大阪市長選結果を受けマスメディアが日本維新の会に向けた冷たい視線です。橋下徹、石原慎太郎両共同代表が率いた維新は支持率も低迷。改憲でも「構造改革」路線でも安倍政権を公然と応援する立場をあらわにするなか、民意との矛盾を深めています。
「大義なし」
過去最低となった大阪市長選投票率に石原慎太郎共同代表は24日、「しょうがない。(選挙の)大義がなかったんだから」と発言。永田町では選挙中にも同党関係者から「(大阪市長選に)私だって投票にいかないよ」との声が漏れるほど、今回の出直し選挙にうってでた橋下氏への信頼は揺らいでいます。
石原氏にも
石原氏に対しても厳しい視線。「大阪維新系だけじゃなく、(石原氏に近いとされる)太陽(の党)系の議員からも批判が強まっている」と別の維新関係者は語ります。
石原氏は、党方針に反して原発輸出を可能にするトルコとアラブ首長国連邦(UAE)との原子力協定に賛成すると、6日の同党の会合で明言。「党が崩壊する」(園田博之国会議員団幹事長代理)といさめられ、党方針に従うよう党代表が松野頼久国会議員団幹事長に説得される始末でした。それでも石原氏は“反対”を確約せず、党指導部が手に負えないほどの暴走ぶりです。
連携相手でも、石原氏はみんなの党の渡辺喜美代表に近づき、維新としてはみんなの党から離党した江田憲司代表らの結いの党との政策協議を続けています。
石原氏は「産経」インタビュー(24日)で「支持率が1%を切るような政党たちが一緒になっても過半数は取れない」と述べ、維新に野党再編の“力”がないことを認めています。非力を自覚する石原氏が「潔くていい」と褒める相手は安倍首相。「集団的自衛権や憲法改正では、徹底して応援します」と語り、暴走に手を貸す姿勢です。
元航空幕僚長の田母神俊雄氏が新党結成の意欲を語った22日の会合に維新の国会議員が参加したことも報じられています。一致した方針で政治を動かすという政党としての体をなさず、脱出先をうかがう喪失ムードが漂う危機的な状況といえます。
(前野哲朗)