2014年3月23日(日)
“官民”で秋田カジノPR ギャンブルは「本質的魅力」!?
居直る誘致団体、政治家関与に批判
歴史ある郷土料理や伝統芸能で知られる秋田。ここにも刑法が禁じる賭博場・カジノを呼び込もうとする動きがあります。秋田商工会議所が18日、カジノ誘致のセミナーを開いた秋田市では―。(竹腰将弘)
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「秋田の活性化の大きな起爆剤としてIR(カジノを中核とする統合型リゾート)を考えていくべきだ」。秋田市内のホテルで約100人を集めたセミナーの場で、同商工会議所の三浦廣巳会頭は宣言しました。
誘致が成功したあかつきには巨額の投資をあおぎ、カジノ運営での協力を求めることになる外国のカジノ事業者(モナコのモンテカルロ・SBM社、マカオのメルコ・クラウン・エンターテインメント社)の代表まで招く用意周到ぶりです。
秋田でのカジノ誘致運動は2001年に発足した「イーストベガス推進協議会」に始まります(表参照)。民間主導ですすんできた誘致運動には、秋田商工会議所の経済関係者が次第に深くかかわるようになり、近年は行政も補助を行うなど、“官民連携”型のものになりつつあります。
設立の趣旨は…
同協議会がホームページ上に掲載している設立趣旨をのべた文章はこうのべています。
「アルコールを飲みたい、ギャンブルしたい、スリルを味わいたい、セックスしたいなどということが『本質的な魅力』なのであり」「こういった『魅力』を十分に意識しながら『街づくり』をおこなわないといけない」
この動きに不穏なものを感じ、数年前にカジノ問題の学習会を開いた新日本婦人の会秋田支部長の奈良由美子さん(64)は「人間の本能のようなものを商売にし、それをお金にしようとする許せない発想です」と言います。「個人や民間の団体が主張しているだけならともかく、こんな誘致運動に協力している政治家までいる。秋田の恥です」
イーストベガス推進協議会の「顧問」には、秋田県選出の衆参の国会議員5人(いずれも自民党)、秋田出身で比例東北選出の衆院議員1人(維新の会)の全員が名を連ねています(別項参照)。そして、これらの議員の多くは、国会でカジノ合法化の先頭に立つ「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)のメンバーであり、金田勝年氏にいたっては議連副会長も務めています。
市民は冷ややか
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秋田県から200万円の補助金を受けて、秋田商工会議所が行った「県民意識調査」(回答500人)では、秋田へのカジノ誘致に「賛成」22・6%、「反対」18・5%、「どちらともいえない」20・1%、「条件付で賛成」38・8%でした。同商工会はこれをもって「県民の6割は誘致に肯定的」と宣伝しています。
しかし、この調査で最も注目されるポイントは、日本にカジノ合法化の動きがあることを「よく知っている」がたった4・1%しかなかったことです。
「秋田にカジノなんて、商工会議所は何を考えているんだか…」と話すのは、市内で30年来働いている個人タクシー運転手の男性。
「秋田には高度医療の立派な施設がある。介護と医療の街づくりをしたら、都会に出て行った若い人たちも、もっと戻ってきやすくなるだろうと、そう思うんだがねぇ」
秋田カジノの動き
2001年10月
県内若手経済人によるカジノ誘致団体「イーストベガス推進協議会」発足
05年12月
第3回日本カジノ創設サミット(秋田市)開催
09年2月
秋田・カジノエンターテイメント研究会設立。官民の6団体(秋田県、秋田市、秋田県観光連盟、秋田観光コンベンション協会、イーストベガス推進協議会、秋田商工会議所)
12年12月
「カジノを活かした地域活性化シンポジウム」開催
12年12月
秋田商工会議所が県民意識調査(県が200万円補助)
14年3月18日
秋田商工会議所「IRがもたらす地域の魅力創出セミナー」
イーストベガス推進協議会顧問の国会議員
(※は超党派カジノ議連のメンバー)
冨樫博之(衆院秋田1区※)、金田勝年(同2区※)、御法川信英(同3区※)、石井浩郎(参院秋田選挙区)、中泉松司(同)=以上、自民
村岡敏英(衆院比例東北※)=維新