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2014年3月22日(土)

対中国で集団的自衛権?

領海警備 自衛隊は不必要

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 4月のヘーゲル米国防長官来日で、2014年末を期限とした日米軍事協力の指針(ガイドライン)改定が主要議題になる見通しです。日本側は「中国を優先的な議題にする」(政府関係者)としており、安倍政権が進める憲法9条解釈の変更も年内に終え、新指針に反映させる考えです。これは日中の戦端を開く危険な動きであり、米戦略ともズレが生じています。

「グレーゾーン」

図

 安倍晋三首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は4月に提出する報告書で、集団的自衛権の行使容認に加え、海上保安庁が「警察権」の行使として行っている領海警備に自衛隊を動員することを提案します。念頭にあるのは、中国の武装した「偽装漁民」による尖閣諸島の占拠や領海侵犯などの事態です。

 政府は、このような事態は「有事」とはいえないが警察権では対応できない「グレーゾーン」であり、自衛隊の実力行使が必要だと考えています。ガイドラインにも、「グレーゾーン」への対応を盛り込みたい考えです。

 しかし政府は、1999年に能登半島沖の不審船事案などを受けて、海上保安庁法などを改正して海上保安官の職務権限を拡大。警察権の範囲内でも相当程度の対応が可能になっています。(図)

 加えて、これは事態を拡大させる危険な道です。中国は尖閣周辺で領海侵犯を繰り返していますが、いずれも日本の海保巡視船に近い性格を持つ公船です。「軍が前面に出ると事態がエスカレートすることを分かっている」(防衛省関係者)からです。「偽装漁船」は当然ながら民間人を装っています。

 自衛隊がこれらに対処すれば、中国海軍が出てくるのは目に見えています。「自衛隊が挑発に乗ると、中国は日本が先に攻撃してきたと国際社会に訴えるのは間違いない」。柳沢協二・元内閣官房副長官補はこう警告します(2月28日の国会での勉強会)。

 日本の尖閣諸島の領有は歴史的にも法的にも正当ですが、日本が先に手を出す形になれば、この正当性自体が揺らぎかねません。

発動要件ならず

 「(中国が実力で現状変更をするような)気持ちを起こさせないためにも、日米同盟…が有効に機能するよう、さらなる努力が必要」。自民党の石破茂幹事長は近著『日本人のための「集団的自衛権」入門』でこう述べ、中国による南西諸島の軍事占領を念頭に、集団的自衛権の行使容認による同盟強化を説いています。

 しかし、尖閣諸島などの「防衛」は、日本の個別的自衛権に関する問題です。「日本が直接、攻撃を受けない海外での武力行使」である集団的自衛権の発動要件にはなりえません。

 何より、中国との「新しい大国間関係」を目指す米側は、日米同盟強化が中国「抑止」につながるとみられることを避けています。

 集団的自衛権の行使推進派は、「国際環境の変化」を口実にしていますが、新たな米中関係こそ、最大の変化です。(竹下岳)


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