2014年3月21日(金)
市長判断「はだしのゲン」回収
校長反発で返却
大阪・泉佐野
大阪府泉佐野市教育委員会が、戦争と被爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を、作品内に「差別的表現がある」として市立小中学校から回収していたことが、20日までにわかりました。
市立校長会は回収の撤回を要望、市教委は同日中に返却しました。
市教委によると千代松大耕(ひろやす)市長が「はだしのゲン」の作品内に差別的表現が多いと問題視し、中藤辰洋教育長に回収を要請。教育長は1月、市立小中学校18校のうち、図書室に「はだしのゲン」を保有する小学校8校、中学校5校から計128冊を回収しました。これに対し市立校長会は「特定の価値観や思想に基づいて、読むことさえできなくするのは、子どもたちへの著しい人権侵害」と抗議。教育長に回収の撤回と返却を求めていました。
泉佐野市教職員組合は20日、中藤教育長あてに「教育委員会が一方的に学校図書館の蔵書の回収を行うことはあってはならない」「各学校の教育課程・主体性を踏みにじるもの」と批判。「はだしのゲン」は閲覧制限すべき図書ではなく、「このようなことが許されるなら、教育内容にまで市長が介入してくるという事態が生まれかねない」と指摘し、教育行政の主体性を堅持し、学校現場の主体性を尊重する教育行政をすすめるよう要請しています。