2014年3月21日(金)
きょうの潮流
亡くなった男の子やお母さんの気持ちを思うと胸が痛い。同時にインターネットを介して、子どもを預けたり預かったりする仕組みに驚いた人も多いでしょう。埼玉県富士見市で起きた「ベビーシッター」事件です▼あるベビーシッター紹介サイトをのぞいてみました。ベビーシッターをやりたい人と利用したい人がそれぞれ登録し、条件が合う人を探す。一見、合理的で便利なシステムです。ベビーシッター企業と違い、研修コストがかかっていない分、低価格であることも魅力。でも、その魅力は危険と隣り合わせでもあるようです▼今回の事件の容疑者はトラブルを幾つも抱えていました。それでも淘汰(とうた)されないのが、サイトの盲点です。依頼内容としては、幼稚園や保育園の送り迎え、保護者が帰ってくるまでの夜間保育、病児保育、休日保育…。どれも公的保育がカバーできていない部分です▼一昔前、筆者も二重保育や病児保育で人探しに苦労した経験があります。いつの時代も働く親にとって仕事と子育ての両立は難問です。しかし、近所付き合いが希薄になり、ひとり親家庭が増え、働く環境も過酷になった今、悩みは以前にも増して深刻です▼社会がどのようなサポートができるのか。行政には注意喚起だけでなく、子どもの最善の利益を踏まえ、前向きな解決を望みたい。その際、サポートの内容は最も困難を抱えた人を基準にすべきでしょう▼子どもは社会の宝です。せめて人生の始まりは、おとなたちの愛とぬくもりの中で育てたい。