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2014年3月15日(土)

国が教科書「是正要求」

改憲誘導の育鵬社版 竹富町に押し付け

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 沖縄県の八重山教科書採択地区(石垣市、竹富町、与那国町)内で同一の中学校公民教科書が採択されていない問題で、下村博文文部科学相は14日、育鵬社版教科書を採択していない竹富町教育委員会に対して、地方自治法に基づく「是正要求」を出しました。国が市町村に直接「是正要求」するのは初めて。子どもを改憲に誘導する育鵬社版公民教科書を押し付けるのが狙いです。

 「是正要求」の理由は、地区内で同一教科書の採択を定めた教科書無償措置法に竹富町が違反しているというものですが、同町の育鵬社版の不採択は2011年9月に行われた八重山地区3市町の全教育委員の協議に基づくものであり、違法とはいえません。

 この問題では昨年10月、文科相が沖縄県教育委員会に対し、竹富町教委に「是正要求」するよう指示していましたが、県教委は「3市町の主体的協議で解決しなければ、教育環境に悪影響が出る」として「是正要求」をしていません。

 「是正要求」により竹富町教委は育鵬社版教科書を採択する義務を負わされますが、従わなくても罰則はありません。不服がある場合は、第三者機関の係争処理委員会に審査の申し出ができます。

 「是正要求」 地方自治体の自治事務処理が法令に違反するか、「明らかに公益を害している」とみなされたとき、担当大臣が「是正」を求めるもので、地方自治法に規定があります。市町村に対しては、大臣が都道府県に指示して「是正要求」させますが、「緊急を要する」場合などは大臣が直接市町村に要求することができます。


“侵略美化”内閣あらわ

 下村博文文部科学相は14日、沖縄県竹富町教育委員会に対し、育鵬社版公民教科書の採択を押し付ける「是正要求」をしました。

 文科相が「是正要求」という法的な強制手段までとって竹富町の子どもたちに押し付けようとしている育鵬社版教科書は、侵略戦争を美化する「日本教育再生機構」(八木秀次理事長)が実質的につくったものです。自民党は安倍晋三現首相が先頭に立って育鵬社版の歴史と公民の教科書の採択率アップを推進してきました。執拗(しつよう)な育鵬社版の押し付けは、侵略戦争を美化し、憲法改悪を狙う安倍内閣の危険な暴走そのものです。

 今回の「是正要求」の理由は、同一地区内では同一の教科書を採択するという教科書無償措置法に竹富町が違反しているというものです。

 しかし、竹富町を含む八重山採択地区では、採択協議会がいったん育鵬社版の選定を答申し、これを受けて石垣市と与那国町は育鵬社版を採択したものの、竹富町は東京書籍版を採択。同一教科書が採択されなかったため、改めて3市町の全教育委員による協議が行われ、東京書籍版の採択を決めました。

 文科省はこの協議結果を認めず、育鵬社版を押し付けていますが、竹富町は協議で正式に決められた教科書を使っているのであり、同町の採択のほうを権力的に変えさせようというのは道理がありません。

 また、大臣が直接、市町村に「是正要求」をできるのは、地方自治法で「緊急を要するときその他特に必要があると認める場合」に限られています。竹富町では寄付により東京書籍版公民教科書を購入し、なんら問題なく2年間使用しています。「緊急を要する」事態はまったく生じていません。沖縄県教委も、「竹富町において教育の機会均等は阻害されていない」との見解を示しています。

 (高間史人)


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