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2014年3月14日(金)

教育委員会が首長の下請けに

自公「改革」案

際限のない支配・介入に道

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 自公両党の教育委員会「改革」案が12日にまとまりました。戦後の教育行政の柱である教育委員会をどう変えようとするのでしょうか。


 大きく変わるのが、首長の権限です。教育行政の基本的方針となる「大綱」は、首長が主宰する「総合教育会議」で、教育委員会と協議して首長が策定するようになります。

「大綱」をタテに

 これまで教育委員会が決めていた教育の方向性が首長の権限のもとに移されるのです。

 重大なことは、「大綱」に首長が何でも盛り込めることです。

 「学校の統廃合を行う」と盛り込めば、首長は同会議を随時招集し、教育委員に対して「どの地域のどの学校から着手するのか」といって方針の執行を迫ることができます。学校の設置・廃止は法律上、教育委員会の権限として残されますが、実際は首長の意向が強く働く仕組みです。

 教科書採択や個別の教職員人事なども教育委員会の「専権事項」としていますが、大綱や方針に縛られる上、同会議で議論することも可能としており、首長の支配・介入が強まることは必至です。

 教育委員長と教育長(事務執行責任者)を統合した新「教育長」を設け、首長が直接、任命することも大きな変化です。現在、教育委員長は教育委員の互選、教育長は教育委員会の任命ですから、首長の支配が強まることになります。新教育長の任期も3年で現行の4年より短くし、首長の任期中に必ず任命できるようになります。

大阪式が全国に

 「大綱」を首長が決める仕組みは、橋下徹・大阪市長がつくった「教育基本条例」と似ています。

 大阪市では首長が教育委員会と協議して「基本計画」を策定。学力テストの結果公表など首長の考えが押し付けられ、競争主義や管理統制が強められています。与党案はこれを全国に広げ、首長による際限のない支配・介入に道を開く危険性を持っています。

 憲法に基づく教育の独立性を侵し、教育のゆがみをいっそう深刻にしかねません。

 新「教育長」の罷免要件については、現行の教育委員と変わらないことになりました。病気など限られた場合しか罷免できないことになります。

 国の関与は、生徒の安全など緊急の場合に限られている文科相の「是正指示」について要件を緩和します。一方、教科書採択への介入が狙われていた「是正要求」は緩和が見送られました。

 安倍内閣が進める「教育再生」は、解釈改憲による集団的自衛権行使など「海外で戦争する国」づくりと一体のものです。

 しかし、政治権力による支配・介入に対しては、党派を超えて「選挙結果で教育が左右される事態はあってはならない」など批判や懸念が広がっています。政治権力による支配・介入を許さない共同がますます重要になっています。 (深山直人)

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