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2014年3月13日(木)

主張

ウクライナ問題

ロシアは領土の侵害やめよ

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 ウクライナのクリミア自治共和国が「独立」を宣言し、16日にロシアへの編入を問う「住民投票」をおこなうことに、世界で懸念が広がっています。ロシアのプーチン大統領は「(編入は)ないと思う」(4日)としていますが、ロシア下院は近く、他国の地域のロシア編入を容易にする法改正を審議する予定です。ロシアへの編入は、ウクライナ憲法と国連憲章をはじめ国際法の侵害であり、クリミアを含むウクライナの将来をさらに複雑にします。ロシアは他国領土の併合の動きをやめるべきです。

軍の圧力の下で

 一番の問題は、事態がロシアの軍事的な圧力の下で進んできていることです。プーチン大統領は、2月末のウクライナの政変と混乱でロシア系住民の安全が脅かされているとして、ロシア軍を一方的にウクライナに派遣する可能性を公言しています。クリミア内では、隣接するセバストポリ特別市に駐留するロシア黒海艦隊の部隊が、「基地の警備の強化」と称して、ウクライナ側の反対を無視して展開してきました。このような状況下で実施される住民投票になんら合法性はありません。

 ロシアへの編入となれば、どんな理由をつけても、「主権と領土の一体性」の尊重という国際ルールの侵害になります。クリミア自治共和国は、1991年末のソ連崩壊後にロシアへの帰属を求めたこともありますが、98年のウクライナ憲法で「ウクライナの不可分の領土であり、ウクライナ憲法の範囲内で自治を行う」とされました。ロシアもこれを認め、現国境を守ることを誓約してきたはずです。

 ある国の一地域が分離・独立することはありえます。しかし「独立」宣言も16日の住民投票も、実際上、クリミアの多数派であるロシア系住民のウクライナの今回の政変への反発から急に始まったもので、ロシア系住民に対する組織的な暴力や弾圧も伝えられていません。クリミア内のウクライナ人やタタール人など少数派との話し合いや、ウクライナの中央政府との交渉といった民主的な手続きも行われていません。

 少数派の住民の反発はもちろん、ロシア語を母語とする住民でも国籍はウクライナのままを望む人がいます。16日の住民投票は、「民族自決」どころか、ロシア系住民を中心とする多数派が決定を押しつけ、住民・民族の間の対立をあおる結果となりかねません。

 クリミア半島のように、複数の民族がさまざまな歴史の経過をへて混住し共存してきた地域では、諸民族が互いに協調・和解し、ともに暮らす枠組みをより良くすることが不可欠です。その点では、ウクライナの政変後にできた暫定政権が、全国的には少数派のロシア系住民の権利を保障し、過激な民族主義=排外主義の動きを戒めることも必要です。

併合は侵略行為

 ソ連崩壊後、ロシア政府は、独立国となった旧ソ連の各共和国に残った「同胞」ロシア人の保護を重視してきました。しかし、ウクライナの暫定政権は認めない、「同胞」は自分たちで守るとの言い分で、一方的に他国で軍を展開し、自国に関係の深い地域の分離を進め併合することは、侵略行為です。地域の平和と安定をそこない、けっして事態の公正な解決をもたらすことにはなりません。


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