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2014年3月11日(火)

子ども子育て新制度

4000億円財源不足で一部先送り

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 安倍政権が2015年度から導入をねらう「子ども・子育て支援新制度」で、予算額が足りないことが明らかとなり、大問題になっています。なぜこんなことに―。(下渕雅史)


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放置してきた政府

 厚生労働省の説明では、(1)待機児童解消へ40万人分の受け皿を増やすための整備など「量の拡充」に4273億円(2)職員の配置基準や給与改善など「質の改善」に6865億円―の計1兆1138億円がかかるとしています。

 ところが政府はこれまで、消費税増税分から7000億円を当てることしか示していません。1兆1138億円に約4000億円も足りない計算です。しかも7000億円は、消費税率を10%に引き上げた時点での予算額です。また、厚労省は「量の拡充」を優先する方針で、「質の改善」を先送りする案を示しています。

 安倍政権は「待機児童解消加速化プラン」を打ち出し各自治体に整備目標を出させていますが、「財源が保証されるのか」「このままでは整備が進められない」との声が自治体から上がっています。全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長は「もともと新制度の導入を決めた民主党政権時代から1兆円以上が必要とされていたにもかかわらず、財源確保を先送りしてきた安倍政権の責任が問われています」と話します。

 40万人の受け皿で待機児童を解消できる保証はありません。待機児童とされるのは「認可保育所に申し込んでも入所できない児童」ですが、あきらめたり、認可外施設で入所待ちの児童は入っていません。実方さんは「現在、認可外にも20万人近い子どもが入所しており、潜在的な待機児童はもっと多い」と指摘します。

 「質の改善」についても、幼稚園教諭や保育士の給与月額を全職種の平均並みに改善するには8565億円、11時間の保育標準時間を保障する保育単価の引き上げには3025億円かかりますが、これらは一切含まれていません。

 さらに新制度では新たに地域型保育として、これまで公費投入の対象外であった認可外施設も対象になりますが、国が示しているのは人員基準のみ。面積基準や園庭、調理室などは参酌基準として自治体まかせになります。人員基準でも、小規模保育B型では有資格者が半数以上であればよいとしています。不十分な職員体制の下で子どもの死亡事故まで起きている中で、保育基準を引き下げて「量的拡充」をはかることは本末転倒です。

消費税以外の財源

 「子ども子育て会議」メンバー33人のうち31人が、政府の責任で財源確保をするよう求めるなど財源確保を求める声が広がっています。

 実方さんは「日本は教育や保育など子どもにかける予算が欧米諸国に比べても圧倒的に低く、抜本的に増やすことが必要です。しかし、消費税をさらに増税すれば保護者の負担をさらに増やすだけで子育て支援に逆行します。消費税ではない財源をきちんと確保すべきです」といいます。


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