2014年3月10日(月)
「出直し」大阪市長選
破綻「都」構想掲げ橋下氏の“自作自演”
維新政治ノーの運動 攻勢的に
大阪市を解体する「大阪都」構想の破綻を取り繕うために橋下徹前市長(日本維新の会共同代表)が引き起こした「出直し市長選」が9日告示(23日投票)されました。
今回の事態の直接のきっかけは、大阪府市の首長・議員(計20人)でつくる法定協議会で「都」構想を強引に進めようとした橋下氏の提案が、維新以外の全会派によって退けられ、来年4月の実現としていた構想が日程の上でも破綻したことにあります。これに逆上した橋下氏が、自らの言動を省みず、「都」構想の設計図を夏までに完成させるためには民意の後押しが必要だとして自作自演の「辞任・選挙劇」を引き起こしたのです。
水増し効果
しかし、橋下氏が自らの「存在意義」と語る肝心の「都」構想は、すでに内容の上でも破綻しています。
「都」構想の「効果額」について、維新の松井一郎幹事長(現知事)が「大阪府と大阪市が統合されれば、予算規模は約8兆円…二重行政を解消すれば、そこから1割(8000億円)の財源を確保できる」と語ったのが2010年11月(『橋下徹 改革者か壊し屋か』)。11年12月には「最低ラインは4000億円」と言い換えました。ところが、13年の制度設計案では596億円に激減。それも、地下鉄民営化や市民サービス削減を「効果」に入れ込んで水増しされたものでした。日本共産党市議団の試算では9・4億円にすぎません。一方でコストは、府市大都市局の過小な見積もりでも初期コストに約280億円、ランニングコストに年間約60億円かかるとされています。
橋下氏は今、もともとまやかしの「再編効果額」をさらに累計額にして大きくみせかけるグラフを示し、「うさんくさいかもしれないが、役所が作った数字だ」と「都」構想の売り込みに必死です。
「片っ端から市民サービスを削っておいて、自分のわがままを通すための選挙には税金約6億円も費やすのか」「もっと議会と話し合うべきだ」。市民からこんな声が上がっているのも当然です。
各党も批判
対立候補擁立を見送った各党も橋下氏の「大義のない選挙」を批判。「再選されても議会の構成は変わらない」(自民)、「協議会で正々堂々の議論を」(民主)などと記すビラを発行しています。
共同を大切にする立場から「独自候補擁立」を見送った、日本共産党も加わる「大阪市をよくする会」と「明るい民主大阪府政をつくる会」は、来るべき時期に維新政治を終わらせる一歩として「大阪都」ストップ・維新政治ノーの運動を攻勢的に行うと表明しています。(藤原直)