2014年3月7日(金)
憲法集会 市が後援断る
神戸や長野・千曲 引き受けてきたのに
「安倍改憲」に呼応か 「尊重擁護義務を放棄」の声
憲法改悪へ暴走する安倍政権のもとで、市民らが開いている憲法集会を従来は後援を引き受けてきた自治体が断るという事態が相次いでいます。
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神戸「情勢鑑み」
神戸市では、日本国憲法施行を祝う5月3日の憲法記念日に毎年、憲法集会(同集会実行委員会主催)を開いています。
今回は、「憲法施行67周年、今あらためて憲法を考える」をテーマに神戸女学院大学の内田樹(たつる)名誉教授が講演します。
同市はこれまで、1998年、2003年に後援してきました。憲法の値打ちを多くの人に知ってもらおうと参加人数を倍以上に計画し昨年暮れ、市に後援を申請。回答がないので再三要請すると、2月4日に久元喜造市長、同5日に雪村新之助市教育長から回答があり、いずれも「不承諾」にされました。
市は「憲法に関しては、『護憲』『改憲』それぞれ政治的な主張があり、憲法に関する集会そのものが、政治的中立性を損なう可能性がある」を理由にしています。市教育委員会は「『憲法』自体が政治的な要素を含むテーマである昨今の社会情勢に鑑み」と安倍政権の暴走を念頭に置いたと回答をしました。
「憲法記念日に『護憲』『改憲』の政治的主張があるとした回答に驚き、『政治的中立性を脅かす』との主張に2度びっくりしました」と話すのは、神戸学院大学大学院の上脇博之教授です。同集会で「憲法をとりまく情勢」と題して報告する予定です。安倍首相はじめ、閣僚、市長ら公務員には「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記した憲法第99条を順守する責任があると指摘します。
千曲「中立性が」
長野県千曲市では、東京大学大学院の小森陽一教授を迎えた30日の講演会(実行委員会主催)を岡田昭雄市長が1月27日に後援を「不承認」にしました。
理由は「講演内容に政治的主張を含むと認められるため」「講演テーマは国論を二分する問題であり、政治的意見の分かれる典型的なもの…行政の中立性が保てない恐れがある」と神戸市と同様の主張を述べています。
同市では、07年3月の「九条の会」呼びかけ人の澤地久枝さん、同11月の経済同友会終身幹事の品川正治さん(故人)、08年3月の経済アナリストの森永卓郎さんの各講演会(いずれも千曲市9条の会主催)は、市も市教育委員会も後援していました。
上脇氏はいいます。「本来、憲法を守るべき自治体首長らが『政治的中立性』を理由に後援をしないのは、憲法尊重擁護義務の履行を放棄することになります。さらに、首相の解釈改憲を先取りするようであるなら、地方自治の放棄です」