2014年3月3日(月)
ウクライナ緊迫 ロシア軍事介入の動き
国連総長懸念 主権と領土損ねる
【パリ=浅田信幸、ワシントン=洞口昇幸】ロシアのプーチン政権がウクライナへの軍事介入方針を決めたことにより、ウクライナ情勢は2日、重大な局面を迎えています。親欧州連合(EU)派のウクライナ新政権は、北大西洋条約機構(NATO)に対し支援を要請。国連安全保障理事会は2月28日、1日と連続して緊急会合を開催し同国情勢を協議するとともに、自制や事態の鎮静化を求めました。
安保理が緊急会合
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プーチン大統領は1日、「ウクライナでの軍の使用」を上院に提案し、上院は全会一致でこれを承認。大統領は声明で「ウクライナの非常事態とロシア国民および同胞の生命の脅威に関連し、同国の事態の正常化までロシア軍兵力をつかう」ことを表明しました。
ロシア系住民が多いウクライナ南部のクリミア自治共和国のアクショノフ首相(親ロシア派)は、全軍と治安部隊を指揮下に置くと宣言し、治安回復の支援をプーチン大統領に要請しました。
1日に開かれた国連安保理の緊急会合でウクライナのセルゲイエフ国連大使は、ロシアによるクリミア半島への軍事介入の動きに関し、「ロシアの侵略阻止のため、尽力するよう求める」と述べ、安保理に行動を要求しました。ロシアの強硬な姿勢に欧米は強く反発しており、欧米とロシアの関係が悪化しています。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は同日、プーチン大統領と電話会談し、ロシアの行動は「ウクライナの主権と領土の一体性を損ないかねない」として「深刻な懸念」を表明。ウクライナ政府当局と直ちに直接対話を行うよう訴えました。
ロシア政府は大統領による派兵命令はまだ出ていないとしています。しかしウクライナ政府はクリミア半島でロシア軍の軍事作戦がすでに開始されたとみています。テニュフ国防相は1日、ロシアがクリミア自治共和国に約6000人の兵力を追加派遣したと批判。ロイター通信は、兵士を乗せた車両にロシア・ナンバーのものがあるとし、ロシア軍が「すでにクリミアを掌握した」と報じています。
ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は、これを「まぎれもない侵略だ」と非難し、ウクライナ軍に最高度の警戒態勢に入るよう命じました。
ウクライナ最高会議は2日、本会議を開き、ロシアの軍事介入方針への対応策を協議します。