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2014年2月28日(金)

都立田無工業高の防災合宿

来たのは消防でなく自衛隊

募集要員が担当

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 東京都西東京市にある都立田無工業高校(池上信幸校長)が今月初旬、「防衛省との連携」(東京都教育庁)による「2泊3日宿泊防災訓練」を同江東区夢の島のスポーツ施設で実施しました。昨年7月、陸上自衛隊朝霞(あさか)駐屯地での宿泊訓練につづくものですが、外部の「目」を遮断したり、自衛隊側の思惑も見え隠れするものでした。 (山本眞直)


写真

(写真)都立田無工業高校の宿泊防災訓練で話をする自衛隊東京地方協力本部の隊員=3日、江東区夢の島

 訓練は、「防災教育推進校」に指定されている同校の2年生全員(155人)を対象に、夢の島のBumB東京スポーツ文化館で実施(2月3〜5日)されました。

 宿泊防災訓練を取材した練馬平和委員会の坂本茂事務局長は、訓練会場に足を踏み入れたと同時に飛び込んできた異様な光景に「これが防災訓練? 一体、都民に何を隠すのか」と強い違和感を覚えたといいます。

救命資格取れず

 開会式や自衛隊幹部による「講話」などが予定されている主会場となる体育館メインアリーナの通路は3本のついたてで“立ち入り禁止”。ついたては白い布で覆われ、DVDが上映されるホールのガラス戸は全て布で目張りがされていました。

 都教育庁が防衛省に提出した「協力依頼」に、実施目的が次のようにありました。「防災関係機関との連携による体験的活動を重視した宿泊防災訓練を実施することで、防災教育推進校の生徒に、社会貢献意識と防災での実践力を身につけさせる」

 この目的のどこに都民の目から隠さなければならないものがあったのか―。都教育庁が取材を厳しく制限してきたのが3日の開会式の後に続く「講話」でした。講話のテーマは「自衛隊の災害派遣活動などについて」で、講師は防衛省自衛隊東京地方協力本部の渉外広報室長(3等陸佐)です。

 「自衛隊のPR以外は誰でもできる話だった」と講話について話すのは現場を視察した日本共産党の里吉ゆみ都議。上映したDVDは米軍とのトモダチ作戦などを盛り込んだ自衛隊のPR版でした。

 防災訓練であれば適切なのは消防です。都教育庁は共産党都議団への事前説明でこう明かしました。「上級救命講習は自衛隊ではなく消防で受けないと取れないので、別途考えている」

提案者は石原氏

 なぜ毎年、自衛隊なのか。石原慎太郎氏が都知事在任中、「今の若者には意欲がない。高校を卒業したら韓国のまねではないが兵役、消防、警察に強制的に(体験を)やったらどうか」と提案。猪瀬直樹知事(当時)が「防災教育推進校」の指定を具体化したからです。

 一方、宿泊防災訓練を支援した自衛隊車両の使用許可書にはこんな標記もありました。「募集広報実務訓練」

 防衛省は本紙の取材に「募集担当者にとって都内の道路を走るのも大事な訓練。宿泊防災訓練の担当は広報要員だから募集とは関係ない」と回答。しかし車両使用代表者の1等海尉は、訓練開会式であいさつし、実習訓練では高校生に説明するなど現場での実質的な責任者でした。

 陸上自衛隊の募集担当者が声をひそめて言いました。「質の高い人材を安定的に確保するためには、学校・自治体などとの日常的な関係強化が必要だ」


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