2014年2月28日(金)
IMF研究報告
所得格差は成長阻害
再分配の効果指摘も
国際通貨基金(IMF)は26日、所得格差が経済成長を阻害する一方で、所得の再分配政策には成長を促す効果があるとの研究報告を発表しました。(島崎桂)
報告は、IMFが従来、目をつぶってきた所得格差と経済成長の関係にふれ、「格差を放置して成長に焦点をあてることは誤りだろう。結果としての成長が、低調で持続性のないものになるからだ」と述べました。
成長を阻害するとしてきた所得再分配については、「報告に使用した過去のデータには、再分配が成長に否定的な影響を与えるとの根拠は、ほとんど見つからなかった」と指摘。高額所得者への高率課税や低所得者への多額の所得移転など、極端な所得再分配には否定的な効果があるとしつつ、「平均的な再分配と、それに伴う格差の縮小は、より好調で持続的な成長につながる」と結論付けました。
IMFは数年来、財政危機に陥った国への金融支援の条件として、増税や社会保障の削減など緊縮政策を義務付けてきました。最近は、IMFのラガルド専務理事を始め、内部からも行き過ぎた緊縮策や雇用不足を懸念する声が上がっています。今回の報告は2人の内部スタッフの手によるもので、IMFの公式見解を反映したものではありませんが、改めてIMFの認識の変化を示すものといえそうです。
各国に緊縮策を課すIMFを非難してきた国際援助団体オックスファムのニコラス・モンブライアル氏(ワシントン事務所代表)はロイター通信に対し、「今回の報告やラガルド氏の最近の発言が、IMFの姿勢の変化を示す兆しであることを望む」と話しました。