2014年2月27日(木)
「安否確認」怠り72歳母死亡
遺族、ワタミ提訴
マニュアルも研修もなく宣伝
「安否確認サービス」に基づく義務を怠ったため母親の大沼鶴子さん=当時(72)=が亡くなったとして、横浜市に住む遺族の長男(51)が26日、弁当宅配の大手「ワタミタクショク株式会社」や自民党の渡辺美樹参院議員、宅配員などを相手取り、損害賠償を求める裁判を横浜地裁に提訴しました。
安否確認サービスとは、弁当を届けた際に「異変があった場合はすみやかにご指定のご家族や医療機関などにご連絡いたします」(同社のパンフレット)というものです。
長男は、横浜市内で1人暮らしの母親を心配して、ワタミタクショクと週5日の弁当宅配を契約。母親に異変があった場合は速やかに連絡をしてもらうことになっていました。しかし、宅配員は呼び鈴を鳴らしても母親からの応答がないなど異変があったのにもかかわらず対応しませんでした。その結果、母親は1日放置された後、遺体として発見されました。
提訴後、原告弁護団の田井勝弁護士は「宅配員の過失だけにとどまらない。安否確認サービスの対応マニュアルもなく、研修制度もない」と指摘。近藤ちとせ弁護士は「会社は(時間的にも金銭的にも)非常に余裕のない人たちに安否確認サービスを負担させて宣伝しており、欺瞞(ぎまん)的だ」と批判しました。
長男は「被告にはきちっと家族の前で謝ってもらいたい」と語りました。