2014年2月27日(木)
きょうの潮流
常識とはこれほど違うものか、と思い知らされます。安全保障をめぐる日本国内と東南アジア諸国連合(ASEAN)内の論議の違いです▼尖閣諸島をめぐる中国との争いも利用して日本を「戦争する国」にしたい安倍政権。一方、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイの4加盟国が中国と南シナ海の島しょの領有権を争うASEANは、武力行使を禁じる法的拘束力を持つ南シナ海行動規範(COC)を中国と締結するために20年以上の努力を続けています▼軍事衝突は対立の果ての最後で最悪の事態。そうならない仕組みをつくることこそ、本当に国を守る安全保障です。最初に軍事的備えに走れば、「こっちは戦争の準備をしているぞ」と相手に思わせてしまいます。相手も軍事的備えに走り対立は高じるばかりです▼軍備増強、軍事同盟、米軍基地、そして集団的自衛権容認で「戦争できる国」になることが安倍政権にとっては安全保障の常識のようです▼「領有権紛争の解決は極めて困難だ。だからこそASEANは対話を続けて軍事衝突を封じ込める」というインドネシア政府高官の言葉を思い出します。同国は長年にわたってASEANで調停役を果たしてきました。決意を込めた言葉として重みを感じます▼軍事力に頼らない対話と信頼醸成の継続こそが安全保障の常識です。それと正反対の動きに加え、侵略美化の歴史逆行というもう一つの非常識が重なっているのが今の安倍政権。問題解決の道は行き詰まっています。